1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660261
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
田中 宗彦 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (80092592)
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Keywords | ガラス転移 / ガラス転移温度 / 乾燥ワカメ / 凍結乾燥 / スルメイカ / プロタミン |
Research Abstract |
1.乾燥ワカメの品質変化と転移温度 乾燥ワカメの主成分であるアルギン酸に着目し、製品の品質はクロロフィル含有量を指標として評価した。ワカメと市販アルギン酸ナトリウムの単分子層水分含量および示差走査熱量計(DSC)による吸熱温度(以下転移温度と仮称)がきわめて類似していた。転移温度は水分活性の増大にともなって直線的に低下した。貯蔵中のクロロフィル含量の減少は一次反応的であり、転移温度をはさんで高温側で減少速度が大きく、低温側で小さくなる2段階反応に従うことを明らかにした。乾燥ワカメの品質は主構成成分であるアルギン酸の状態に大きく左右されると推察された。この他、製品の水分活性との関係で求めたクロロフィルの分解に対する活性化エネルギーはこれまで報告されていないため、今後この分野で役に立つと予想される。乾燥ワカメおよびアルギン酸ナトリウムのDSCで観察されたエンタルピックなピーク(吸熱ピーク、60-70℃付近)を詳細に検討したところ、ガラス転移を示唆するピークの形に類似していたが、本乾燥ワカメがガラス転移を起こしていたと断定するまでの根拠は見いだされなかったことをつけ加えておく。 2.凍結乾燥スルメイカ肉とプロタミンの転移温度 スルメイカ肉のDSC吸熱ピークの温度は170℃以上で、水分活性の増大とともにある程度低下したが、本転移はそのピークの形状などからガラス転移によるものでないことが判明した。凍結乾燥したプロタミン(サルミン、クルペイン)はガラス転移を起こしており、その温度は90℃付近で、水分活性と直線的な関係が観察された。最近、Tg'が求まり、来年度はプロタミンの抗菌性とガラス転移の関係を中心に研究を遂行する予定である。
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