1994 Fiscal Year Annual Research Report
麻痺性貝毒により毒化した養殖カキの減毒と有効利用に関する研究
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06660263
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮澤 啓輔 広島大学, 生物生産学部, 教授 (20034457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 学 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60243606)
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Keywords | 麻痺性貝毒 / 養殖カキ / 缶詰 / 毒性 / 減毒 / 有毒プランクトン |
Research Abstract |
広島湾では平成4年春に初めて麻痺性貝毒による養殖カキ等二枚貝の大規模な毒化が発生し、大きな産業的な被害を出した。毒化は規模は低いがその後2年続いており、毒化カキの利用等の対策の確立が望まれている。そこで本研究では毒化カキの食品としての有効利用を図るため、現行の加工処理による減毒試験及び、生きている二枚貝の有毒プランクトン投与等による毒化と減毒過程の毒性と毒組成の推移を調べ、以下の結果を得た。 1)毒化したカキ(30MU/g)を原料にして燻製油漬け缶詰と水煮缶詰を製造したところ、残存毒性は全て2.5MU/g未満で規制値を越えるものはなかった。オイスターソースでは原料の毒性90%が消失し、製品では不検出となった。乾燥カキでは規制値以上の毒性が残存した。加熱条件を十分考慮すれば、缶詰とオイスターソース製造では利用が可能と考えられた。 2)無毒のアサリとカキに有毒プランクトンの培養細胞を10日間投与したところ、両者とも毒化は進行したが、毒の蓄積率は低く、毒性は前者で4.6MU/g、後者は1-4MU/gと毒化の程度は低かった。次に養殖イタヤガイ中腸腺の毒性の変化を毎月追跡した。毒性の最高値は5月上旬の45MU/gで、その時期は有毒プランクトン出現の時期と一致していた。その後の毒性の低下は緩慢で、アサリ、カキ等の剥き身の毒性が約1か月で不検出になるのに対し、半年後の翌年2月でも、マウス致死毒性が残存した。イタヤガイは中腸腺が大きく容易に得られ、かつ毒性が高いので、毒化の初期検知の指標として有効と判断された。また二枚貝の毒組成は有毒プランクトンのそれとは異なり、いずれも高毒成分のGTX群が主であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 宮澤啓輔 他 2名: "麻痺性貝毒により毒化したカキの缶詰、乾製品及びオイスターソース製造中における毒性の変化" 食品衛生学雑誌. 36. 35-41 (1995)
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[Publications] M.Asakawa,K.Miyazawa et al.: "Dinoflagelate Alexandrium tamarense as the source of paralytic shell fish poison(PSP) contained in bivalves from Hiroshima Bay, Hiroshima Prefecture. Japan" Toxicon. (in press).