1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660267
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
土屋 隆英 上智大学, 理工学部, 教授 (90053694)
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Keywords | 魚類 / ミオシン / 動的粘弾性 / 弾性成分 / ゲル |
Research Abstract |
平成7年度の主な成果は次の通りである。 前年度十数種の魚のアクトミオシンのゲル化機構の研究を進めてきた。本年度はかまぼこを初めとする、魚肉、蓄肉練り製品のゲル弾性因子がアクトミオシンの主要構成成分であるミオシンであるので、これを材料とした。かまぼこを代表とするゲルの独特の歯ごたえは、ミオシンによりもたらされた言われているので、アクトミオシンで得られた魚種特異性にミオシンがどのように関わっているのかを、動的粘弾性とかまぼこゲルのジェリー強度を測定することにより、ミオシンの役割を調べた。 1.ミオシンの弾性成分は30℃付近から急激に上昇したが、アクトミオシンで認められた45℃付近での、大きな落込みは観察されなかった。さらに温度が上昇すると弾性成分は大きな値となった。 2.しかし、同時に測定したミオシンの粘弾性成分は温度上昇に伴い、小さな二つのピークが見られたが、温度が高くなると減少していった。また、いずれの温度でも、魚のミオシンの粘性成分の値はアクトミオシンのものより低かった。 3.ミオシンはゲルの弾性発現因子と言われているが、このミオシンは分子量が約50万と大きなもので有る。ミオシンの代表的な性質である、ATPaseの活性部位やフィラメント形成能は大きな分子に局在している。そこで、ゲル化にはミオシンのどのような構造が必要で有るのかを調べるために、ミオシンをタンパク質分解酵素処理し、サブフラグメント似した時のゲル形成能を調べた。その結果、ゲル化にはミオシン分子そのもの大きさが必要であることが証明できた。 なお、ミオシンの魚種特異性に関しては、明確な差を見出すことが難しく、今後も研究を続ける必要がある。
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[Publications] M. Ogawa et. al.: "Alpha-Helical Stracture of Fish Actomyosin" J. Food Sci.60. 297-299 (1995)
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[Publications] M. Ogawa et. al.: "Thermal stability of a-herical structure of fish myosin rods" Comp. Biochem. Physiol.94. 367-370 (1995)
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[Publications] 中島 滋 他: "DHA高含有魚油のラット肝油滴への影響" 日本水産学会. 61. 769-770 (1995)