Research Abstract |
本研究は,食品産業における非価格競争の動態的側面をブランドライフサイクルと広告費との関連から解明しようとしたものである。その対象は,主たる競争手段を広告宣伝とし,かつ製品差別化競争の著しい製品たぱこ産業とした。研究計画ではビール,乳・肉製品,冷凍食品,レトルト食品,即席メンなども対象として考えていたが,研究テーマとの妥当性,予算制約などの理由から,とりあえず製品たばこを掘り卜げて検討していくこととした。主たるファクト・ファインデイグスは次の通りである。 1 製品たばこ産業の製品差別化(製品空間の拡大)は,ライト化(低タール・こコチン量),ボックス化,キングサイズ化,メンソ-ル化の方向で進んでおり,販売会社間の対抗製品の関係はかなり明確である。 2 テレビ・ラジオコマーシャルは,新製品のファミリーブランドに限定され,かつ月間出稿量にも制約がつけられているが,固定費的性格が強いため,実質上,JT,PM,B&W,RJRの上位4社で占められている。 3 新聞・雑誌広告には上記2のような制約はないが,量的に見ると,やはり上位4社が全体の8割以上を占めている。上記4社以外では,海外で確立された伝統ブランドや中国ブランドなど特徴ある広告宣伝が出てくる。 4 広告宣伝を通じた非価格競争という側面では,社名広告,ファミリーブランド広告というよりも,個別ブランド広告,新製品広告に力が注がれている。とくに新製品発売開始から数か月間にわたって集中的な広告宣伝が行われると同時に,対抗会社からはその新製品を十分に意識した自社製品の広告宣伝が行われる。 5 広告効果という側面では,製品空間の拡大をもたらすような新製品の場合と,ブランドの浸透や防御を目的とした概存製品の場合とでは異なっており,売上高広告費比率販売は短期的には前者が高く,後者が低くなっている。
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