1994 Fiscal Year Annual Research Report
繭糸をめぐる事業団制度の問題点と今後のあり方に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
06660282
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇山 満 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (90176735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 滋晃 京都大学, 農学部, 助教授 (70169308)
濱崎 實 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00021171)
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Keywords | 事業団制度 / 繭糸 / 社会的厚生 / 資源配分 / 一元化輸入 / 価格安定 |
Research Abstract |
繭糸をめぐる事業団制度には、生糸の一元化輸入といった貿易面、安定価格帯の設定方法、適正在庫水準の決定、在庫運営の在り方等問題は山積している。制度そのものの抜本的見直しが迫られており大きな転機を迎えている。現行制度の再検討にあたっては、客観的立場から、社会的にみて本制度の何がどのように問題であるのかを、資源配分の効率性や公平性といった社会的厚生の観点から明らかにすることが不可欠である。しかるに、事業団制度・システムを真正面から研究対象として、経済理論・実証の両面から政策的分析を行ったものはほとんどみられない。本研究の主たる目的は、繭糸にかかわる制度において、真に困った問題を理論的に明確なものとし、この困った問題はなぜ起こったのかという要因分析を行うこと、そして、この困った問題を緩和・改善するための政策手段を探し出し、制度の今後の方向性について政策提言を行うこととした。本研究は、平成6年度と7年度の2カ年で完成させる予定であるが、まず平成6年度においては、歴史的視点から、価格安定制度の変遷とその社会的背景との相互関係を詳細に調べ、その特質を明かにすることに重点をおいた。そして、これを基礎として、現行事業団制度の概要を既存資料・研究及び法律・法令等をベースに把握することに努めた。さらに、利害関係主体に対するヒヤリング調査を行なうことにより、制度運用面を含めた、政策システムのエッセンスとその問題点の本質を明らかにし、その要因についても具体的に考察を行った。しかし、政策過程および組織体内部の意志決定の詳細に関する情報収集は不完全である。平成7年度においては、理論分析の拡張結果とともに平行して計算分析を行い、今後の在り方について提言を行なうことに焦点をあてて研究を遂行する予定である。
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