1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩元 泉 九州大学, 農学部, 助教授 (10193773)
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Keywords | 兼業農家 / 農業生産組織 / 営農集団 / 特定農業法人 |
Research Abstract |
本年度の調査研究の結果,以下の点を明らかに出来た。まず,兼業農業経営が存続する条件としては生産組織による補完が,特に九州地域の場合必要であることが明らかになった。その場合に機械利用組合型の生産組織化と協業経営型の生産組織化が可能である。 機械利用組合型は一般には,農業機械の維持管理を考慮に入れればよいので,事業規模も大きくなく,集落の合意を得やすい。また,経理関係もさほど複雑にならずにすむ。しかし,組合運営を利用料金と支払い労賃との兼ね合いで行うため,機械の更新,故障の修理などの経費の調達に困る。したがって機械更新時に暗礁に乗り上げ,継続性の点で難点がある。これに対して,協業経営型は一般には,経営収支をプール計算によって行うため,分配や機械更新など金銭面では多少の余裕が出来る。新食料法の下では米の販売においても有利になる。しかし,事業規模が大きいので経営管理には複式簿記の知識と専従的に関わる人材を必要とし,制度的な手続きも複雑であるから専門的知識も必要である。この点兼業農家の中には会社事務経験を持った世帯員も存在するので,兼業農家を含んだ集団は有利である。 しかし,次のような問題点も明らかになった。機械利用組合型ではオペレータによる作業委託が定着すると農地の流動化はかえって進まない傾向がある。協業経営型では農業生産法人への利用権設定をするということで形式的には流動化する。しかし,実際の畦畔管理,水管理,肥培管理を個別農家に再委託するなどして農地管理は行わざるを得ない。 さらに,機械利用組合型では,組合としての収益を期待できないので,年々の費用と機械更新の積み立てを上乗せして料金設定をするか,機械更新費用を別途徴収するかしなければならない。この点に工夫がなされる場合には兼業農業存続の条件として機械利用組合が成立する。
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