1995 Fiscal Year Annual Research Report
農業経営の規模および部門構成と経営継承の関連性に関する研究
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06660287
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
發地 喜久治 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (40244842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 元展 (財)日本農業研究所, 研究員
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Keywords | 農業経営の規模・部門構成 / 経済的立地条件 / 集約作物 / 農業経営の主宰権 / 世帯主宰権 / 世代交替 |
Research Abstract |
本研究は,農業経営の規模・部門構成と経営継承の関連を解明することを目的として,(1)農業経営の規模・部門構成による農業後継者の経営継承プロセスの差異,(2)世代交替に際する規模および部門構成の変化,(3)経営継承と経営資産の形成・処分の関連性,(4)作目・地域による経営継承の差異,の4点について複数地点の調査研究を行うものである。その際,酪農,稲作,畑作といった酪農経営部門ごとの比較と経済的立地条件の及ぼす影響にも留意することとしている。 平成7年度においては,都市近郊畑作地帯として埼玉県川越市を調査地としたが,経済的立地条件についても検討するため,東京都清瀬市を比較事例として調査地に追加した。川越市での調査により,基幹的な栽培作物がホウレンソウを中心とする集約野菜へ移行していく過程において,新たな栽培技術に対応できる若い後継者が経営の中心となる状況が把握できた。それを支えた条件として,強固な出荷組合の存在がクローズアップされた。出荷組合を核とした集団的な営農展開が,若い後継者を農業の担い手として育てていたのである。 一方,比較調査地とした清瀬市においては,根菜類からホウレンソウ等の集約作物への移行と新たな栽培技術の担い手となった農業後継者への経済継承の展開という基本パターンは川越えしと同様であったが,経済的立地条件(特に都市的開発)に規定された特徴的な問題点も明かとなった。農業後継者の成長に伴い,農業経営の主宰権(農業後継者に帰属)と土地資産をも管理する世帯主宰権(父親の世代に帰属)とが分離する傾向が顕著であり、とりわけ土地資産の管理実態については,農家の家としての世代交替を分析する際の規定的な要素の一つであることが明かとなった。これについては,純農村地帯,山村地帯等他の調査地との比較を行う上での論点の一つとして,次年度において本格的に検討することとしたい。
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