1994 Fiscal Year Annual Research Report
泥炭地における地下水の動態と土木構造物の耐酸性に関する研究
Project/Area Number |
06660292
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 力 山形大学, 農学部, 教授 (10007073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕渕 辰昭 山形大学, 農学部, 助教授 (00250960)
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Keywords | 客土厚さ / 地盤沈下 / 水質 / 循環灌漑 / 地下水の移動 |
Research Abstract |
山形県置腸盆地の赤湯低位泥炭地を実験地として本研究を進めた。この地区は面積約950haであり、二つの河川と山に囲まれた低湿地である。泥炭層は深いところで約8mであり、小さな残存湖が存在する。この泥炭地が本格的に開発されだしたのは明治33年以降であり、昭和33年に着工された灌漑・排水事業の施工後は比較的軽量の農作業機械が導入されるようになった。 本地区は現在ほとんどが水田であり、水管理は灌漑期には循環灌漑を行なっている。昭和32年の柱状図と本年度に行った結果を比較すると、平均沈下量はおよそ70cmであった。この結果は、このような深さを持つ泥炭地としては沈下量は少ないものと言える。その理由はこの地区の水管理システムによるところが大きい。 水質は幹線排水路上流部ではpH7以上であり、下流部ではpH6.8程度であった。またNa、Ca、Clの各イオンは一般河川よりは濃度が高く、しかも排水路下流部ではかなり高い値を示した。この傾向は泥炭地水田の地下水の値とほぼ同じ傾向を示した。重金属についてはCd、Pb、Cuについて測定したが、いずれも微量しか検出されず河川の水質基準以内であった。この地区は以前Cd汚染が問題となった地区であるが、その後の客土あるいは循環灌漑という水管理システムが効果的であったものと考えられる。 封入空気と泥炭の透水生の問題は室内実験ではその関連性を明らかにすることができたが、現在、発生する気泡と温度の関連を検討中である。泥炭地における熱移動の問題は、本地区では泥炭はほとんどの場合、飽和状態であるのでその特徴は水の移動によって規制される。 現在、以上の結果を中心に取りまとめ作業の段階である。
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