1995 Fiscal Year Annual Research Report
土壌消毒剤の深層部ガス拡散解析と多点注入式深層土壌消毒機の研究開発
Project/Area Number |
06660317
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Research Institution | MIYAZAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
御手洗 正文 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60094083)
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Keywords | 土壌消毒機 / 線虫 / DD / ガス濃度分布 / クロールピクリン |
Research Abstract |
薬剤使用の軽減と深層部までの有効な土壌消毒法を明らかにするため,線虫の垂直生息密度分布の測定を行うとともに,従来の歩行牽引型土壌消毒機とトラクタマウント型土壌消毒機(一段注入式)並びに二段注入式深層用土壌消毒機(試作機)による薬剤の深層濃度分布特性と深層部までの線虫防除効果について検討を行った結果、以下の事が明らかになった。 1.線虫の垂直生息密度分布 各試験圃場とも有機物の多量の施用と深耕によって,深層部までの土壌環境が良くなっているため,一般の畑地(作土層20〜25cm)に比べて深層部(25〜50cm)までの線虫生息密度がかなり高まり,深層消毒の必要性がある。 2.土壌消毒剤の垂直濃度分布 DDは消毒7日後において,一段注入消毒法,二段注入消毒法ともに深さ50cmまで線虫防除に有効な10ppm以上のガス濃度が検出されたが,下層部から表層部にかけて急激なガス濃度の減少が見られた。一段注入法と二段注入法を比較すると,二段注入法の垂直ガス濃度分布が深層部までやや高く,薬剤使用量の軽減が期待される。 3.線虫防除効果 砂質土壌における消毒7日後の線虫減少率は一段注入法、二段注入法ともに上層部:98〜100%,下層部:98〜100%を示し,ほとんどの成虫が死滅した。しかし,消毒30日後は上層部:30〜77%,下層部:30〜88%と線虫密度の回復がみられ,A,B,E圃場では消毒前よりも線虫の増加が一部見られた。このことは現在の土壌消毒法が幼虫,成虫には効果的であるが,線虫卵への効果は薄いことを示しており,今後防除法の検討が必要である。 4.一段注入法と二段注入法の間に明確な差は認められず,消毒後にビニール被覆を30日間行った消毒法と土壌水分の多いクロボク土での二段注入法が長期的な防除効果が認められた。今後,ガスの地表面から深層部までの均一な拡散と持続的な封入方法を検討し,消毒7日以降に孵化する線虫の防除を考えていく必要がある。
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