1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 高弘 東北大学, 農学部, 助教授 (20111297)
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Keywords | 牛最長筋 / 筋肉内脂肪 / 脂肪芽細胞 / 分化成長因子 / 成熟脂肪細胞 / 脂肪交雑 |
Research Abstract |
本年度の研究目的はほぼ達成された。具体的には下記の通りである。 脂肪細胞の出現を、牛胎児の最長筋、深胸筋から調整した脂肪を用いた初代培養で検討した。培地は、(1)199培地(GIBCO)に10%の牛胎児血清(IRVINE SCIENTIFIC)を添加(M-199+10%FCS)、(2)MAMに10%の牛胎児血清を添加(MAM+10%FCS)、(3)DMEMに10%の牛胎児血清を添加(CMEM+10%FCS)、(4)DMEMとHamF12(GIBCO)を1:1に混合した無血清培地(DMEM/Ham F12)を使用した。培地(4)には、33μMビオチン(GIBCO)、17μMパントテン酸塩(GIBCO)、100μMアスコルビン酸ナトリウム塩(和光純薬)および反芻動物の脂肪酸合成の主要な基質である酢酸(1mM)を添加した。分化誘導因子として、インスリン(INS、1.7μM):GIBCO)、デキサメサゾン(DXMS、100nM:SIGMA)、トランスフェリン(TRFR、10μg/m1:和光純薬)、トリヨードサイロニン(TITR、1nM:Aldrich社)を使用直前に希釈し培地にそれぞれ添加した。分化した脂肪細胞の同定は、Oil Red O(CHROMA)によって細胞内の脂肪滴を染色することにより行った。マウス新生児の骨格筋由来の細胞の培養では、培地(1)、(2)、(4)のすべてにおいて、細胞がコンフルエントに達したとき、脂肪細胞が出現した。牛胎児の筋由来の細胞では、培地(1)、(2)で培養した場合、脂肪細胞は出現しなかった。培地(3)で細胞がコンフルエントに達するまで培養し、その後培地(4)に交換し、INS、DXMS、TRFRおよびTITRを添加し、さらに2-3週間培養した時、脂肪細胞が出現した。以上の様に、牛の骨格筋の間質由来の細胞からの成熟脂肪細胞の分化は、マウス新生児の骨格筋の間質由来の細胞と異なり、INS、DXMS、TRFR、TITR等の分化誘導因子が必要でありことが明らかとなった。培養系で出現した脂肪細胞は、LPL、ビメンチン、F-VIIIが陽性であり、組織内の脂肪細胞と同様にLPLが最も強かった。ビメチンとF-VIIIは、共に弱陽性に反応した)。これらのことは、牛骨格筋の間質由来の細胞の培養系で出現した脂肪細胞は、組織内の脂肪細胞と同様にLPL、ビメンチン、F-VIIIを生合成していることが明らかになった。 今年度の研究において、牛の骨格筋組織由来の細胞から成熟脂肪細胞が誘導できる培養系が確立された。翌年度は個々の分化誘導因子をさらに検討し、筋肉内脂肪細胞の成熟機序に対する作用を解析する事が必要である。
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