1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660359
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
葛西 孫三郎 高知大学, 農学部, 教授 (60152617)
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Keywords | 死亡動物 / 卵子 / 精子 / マウス / ラット / 体外受精 / 低温保存 |
Research Abstract |
ICR系あるいはBDF1マウスおよびWistar-Imamichi系ラットを、頚椎脱臼あるいは頭部殴打によって死亡させたのち、4℃あるいは20℃に1〜10日間保存し、性細胞が生存可能な期間をしらべた。雌動物は、屠殺48時間前にPMSG処理を施しておき、保存後の卵胞内未成熟卵子の形態と対外培養後の成熟率をしらべた。雄動物からは精巣上体尾部精子を採取し、修正KRB液中に懸濁させて生存性と運動性を観察した。さらに、一部の卵子と精子は、体外受精によって前核期〜2細胞用までの発生能をしらべた。 雄マウスは、20℃に保存すると3日後には精子は死滅していたが、4℃に保存すると5日後も高率に生存しており、10日後にも生存精子が確認された。保存動物の精子は、屠殺直後に採取した精子に比べて培養後の生存性の低下が顕著であったが、5日間保存した精子を新鮮な卵子と体外受精すると、前核期〜2細胞期まで発育した。ラット精子もマウスとほぼ同様の傾向を示したが、保存精子を用いた体外受精によって受精卵は得られなかった。 屠殺後20℃に1日間保存した雌マウスからは形態的に正常な卵子は回収されなかったが、保存温度が4℃の場合は50%以上の卵子が正常な形態を有しており、培養後に乱核胞崩壊〜第2成熟分裂中期への成熟が観察された。しかし、4℃においても2日間保存後には、正常な形態を維持した卵子の割合は大きく低下し、正常な成熟は確認されなかった。ラット卵子も同様の傾向がみられたが、4℃に1日間保存した雌から採取した卵子を体外受精後に体外受精して、低率ながら受精が確認された。一部の未受精卵子は、EFS液を用いてガラス化保存したが、耐凍剤の除去過程に損害を受けやすいことが観察された。 本研究の結果、死亡動物の生殖細胞を利用する場合はできるだけ早く冷蔵することが重要であり、卵子は死亡後1日以内に採取する必要があるが、精子は5日間以上保存しうると考えられる。
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