1995 Fiscal Year Annual Research Report
動物インフルエンザウイルスのレセプター認識特異性に関する研究
Project/Area Number |
06660368
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 壽啓 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (00176348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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Keywords | インフルエンザウイルス / レセプター特異性 / シアル酸 / 宿主域 / 組織向性 / ヘマグルチニン / 動物種間伝播 / インヒビター |
Research Abstract |
インフルエンザAウイルスの宿主細胞レセプターは末端にシアル酸を持つ糖鎖である。これまでウイルスのレセプター結合特異性は解析されているが、宿主側のレセプターの構造を解析した成績は殆どない。本研究ではインフルエンザウイルスの動物種間伝播のメカニズムを解明することを目的として、昨年度までにカモ、ウマおよびブタの標的細胞表面のレセプターの糖鎖構造をシアル酸の結合様式の違いを認識するレクチンを用いて解析し、ウイルスのレセプター結合特異性と宿主細胞表面の糖鎖構造が宿主域を決定する重要な因子であることを証明した。本年度はさらに、シアル酸の分子種の違い(Neu5Ac、Neu5Gc等)を認識する特異抗体を用いて解析を試みた。その結果、ウマおよびブタの気管では上皮細胞表面全体にN-グリコリル型シアル酸(Neu5Gc)が存在したが、カモの結腸では陰窩を形成する細胞に限局して認められ、表層の細胞では検出されなかった。ヒトの臓器にはNeu5Gcが存在しないことが知られている。またKidaら(1980)はヒト由来インフルエンザウイルスはカモの腸管で増殖しない、カモ由来ウイルスはカモの結腸の陰窩でよく増殖し、表層部では増殖が認められないことを報告した。今回の成績はNeu5Gcの存在がウイルスの宿主域のみならず増殖部位とも関連することを示唆している(論文準備中)。更に、Neu5Gcを認識するヒト由来ウイルス変異株のヘマグルチニンを持ち、他の遺伝子はすべてカモのウイルス由来である遺伝子再集合体を得た。現在、このウイルスがカモの腸管で増殖するか否かを検討中である。また、この研究過程で各種動物由来赤血球を用いた凝集試験によりインフルエンザウイルスのレセプター特異性を調べる簡便法を確立した。さらに、古くから知られるこのインフルエンザウイルスの血球凝集の機構をウイルスのレセプター結合特異性と血球表面に存在する糖鎖構造という観点から究明した(論文投稿中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ito: "Perpetuation of influenza A viruses in Alaskan waterfowl reservoirs." Arch.Virol.140. 1163-1172 (1995)
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[Publications] T.Horimoto: "Cleavability of hemagglutinin from an extremely virulent strain of avian influenza virus containing a unique cleavage site sequence." J.Vet.Med.Sci.57. 927-930 (1995)