1994 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部・下垂体・卵巣機能調節における甲状腺と副腎の役割
Project/Area Number |
06660375
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60092491)
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Keywords | 視床下部 / 下垂体 / 性腺 / 甲状腺 / 副腎皮質 / プロラクチン / 甲状腺刺激ホルモン(TSH) / 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH) |
Research Abstract |
本年度は、正常に発情周期を回帰する成熟雌ラットを用いて、甲状腺機能低下状態下における卵巣機能と副腎皮質機能について検討した。 1.甲状腺低下状態下における発情周期及び排卵 正確に4日周期を回帰する成熟メスラットに、4-メチル-2-チオウラシル(MTU)を飲水投与することにより甲状腺機能低下状態を作出した結果、(1)MTU投与後7周期目から発情周期の乱れる個体が出現し、8周期目以降は、ほとんどの動物で発情周期に乱れを生ずる事実が明らかとなった。この様な、低甲状腺機能状態のラットの排卵数を調べた結果、(2)MTU投与後6周期目までは、対照群と比較して差の無い値を示した。MTU投与開始後、2周期ごとの発情期11時に断頭採血して、血中LH、FSH、プロラクチン、インヒビン濃度を測定した結果、(3)MTU群では、4周期目から血中プロラクチン濃度の増加が認められた。臓器重量を調べた結果、(4)副腎、脾臓及び子宮重量の低下が認められた。 2.偽妊娠誘発実験 甲状腺機能低下状態下のラットでは、プロラクチン分泌に変調をきたす可能性が示されたことから、精管を結さつした雄ラットを用いて偽妊娠誘発実験を行った。その結果、甲状腺機能低下ラットでは、正常ラットに比べて明らかに偽妊娠誘発率が高い事実が判明した。 これらの結果から、低甲状腺状態下の成熟雌ラットでは、明らかな内分泌学的変化が起こり卵巣機能に変調が誘起されるものと推察された。現在その機構を解析する目的で、MTU投与後4〜5周期における内分泌学的検索を続けている。また、この様な卵巣機能の低下には、プロラクチン分泌が関与する可能性が示唆された。
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[Publications] 苫米地多恵子: "副腎皮質ホルモン(ACTH)の簡便なラジオイムノアッセイ" Journal of Ryoduction and Development. 40. j99-j104 (1994)
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[Publications] 苫米地多恵子: "泌乳ラットにおける副腎皮質機能と甲状腺機能" ACTH RELATED PEPTIDES. 5. 1-8 (1994)
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[Publications] 田谷一善: "雄ラットにおける甲状腺,副腎皮質および精巣の機能的関連性" ACTH RELATED PEPTIDES. 5. 9-15 (1994)
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[Publications] 田谷一善: "排卵数調節機構" HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY. 1. 67-77 (1994)
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[Publications] T.Taketomi: "Superovulation of Holstein heileis by a single subcutaneous injection of FSH dissblred in polyvirylpyrobidine" Theriogenology. in press. (1995)
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[Publications] 新井浩司: "^<125>I標識ホルモンを用いたコルチゾールのラジオノイムノアッセイと各種動物の測定例" Journal of Repioduction and Development. 41(投稿中). (1995)
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[Publications] 田谷一善: "獣医生理学" 文永堂出版,