家畜の骨格筋発達と内分泌機能に関する生体機構学的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06660382
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 高原 斉 九州大学, 農学部, 教授 (40038203)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 西村 正太郎 九州大学, 農学部, 助手 (70237725) ; 岩元 久雄 九州大学, 農学部, 助教授 (40038302)
• Keywords: 骨格筋 / 肉質 / 筋線維型 / 組織化学 / 下垂体 / 内分泌

Research Abstract

1。黒毛和種去勢雄牛の肉質の関する研究
九州西南緩地は我が国の食糧生産基地、特に国産牛肉の生産地として重要な位置を占め、ガット・ウルグアイラウンド農業交渉合意後の輸入牛肉攻撃に対抗する良質牛肉の低価格生産が必要になっている。本研究では、大分県久住高原地域で飼育されている黒毛和種去勢雄牛の胸最長筋と大腿二頭筋(ロースやモモ肉の主要筋)を用いて、それぞれの筋肉内各部位での肉質判定に関与する筋線維構成の変化を詳細に検討した。
まず、黒毛和種は一般的にβR型の赤色筋線維が多く保有し、良質の肉を生産するのが特徴であることを明らかにした。胸最長筋では頭側でβR型筋線維が多く、尾側でαW型筋線維(白色筋線維)が増加すること、また、脂肪交雑度が高い個体の同筋では特に頭背側部でβR型筋線維が増加する傾向を示すことを立証した。一方、大腿二頭筋では脊柱に近い近位部でβR型筋線維が多く、遠位部でαW型筋線維が増加すること、体表から深い部位ではαR型筋線維(赤色筋の一部で、酸化的速筋といわれる)が極端に少ないことを明らかにした。これらの特徴は両筋の生理機能と密接に関連するものと推察される。
2。トカラ山羊の産肉性と内分泌機能に関する研究
反芻類実験動物として有用性が認められているトカラ山羊の骨格筋成長について研究し、雄では、性成熟とともに頚部および胸腰部の骨格筋が著しく発達することを明らかにした。さらに、性成熟期における下垂体腺葉内GTH細胞、PRL細胞の電顕的観察を行い、それらの分泌顆粒が特徴的に変化することを明らかにした。

Research Products

• [Publications] 後藤,貴文他7名: "黒毛和種去勢雄牛の脂肪交雑度の異なる胸最長筋における筋線維型構成の比較" 日本畜産学会報. 65. 454-463 (1994)
• [Publications] 後藤,貴文他7名: "黒毛和種去勢雄牛の大腿二頭筋前部における筋線維型構成の部位間での比較" 日本畜産学会報. 66. 62-71 (1995)