1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヤギの黄体機能における20α-ダイハイドロプロジエステロンの生理的役割
Project/Area Number |
06660386
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
澤田 勉 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60081600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 尋通 大阪府立大学, 農学部, 講師 (10155252)
|
Keywords | 20α-dihydroprogesterone / goat / lnteolysis / Prostaglandin F_2α / Progesterone |
Research Abstract |
【目的】最近、我々はヤギの発情周期中ならびに妊娠中の血液中にprogesterone(P)以外にPから異化されて生じる20α-dihydroprogesterone(20α-DHP)が分泌されることを報告した(Steroids 59:468-471,1994;Steroids 59:672-675,1994)。20α-DHPにはP合成の抑制物質という報告とPの不活性代謝産物であるという報告がある。ウシやヒツジでは発情周期の初期に投与されたPは黄体退行を引き起こす。今回は、ヤギの発情周期中の黄体機能に及ぼすPおよび20α-DHP投与の影響と20α-DHP分泌との相関から20α-DHPの生理学的意義について検討した。【方法】4-5才歳の雌シバヤギ26頭を用いた。発情日を0日とした。ヤギを5群に分け、1群は発情周期の4日、2群は10日ならびに3群は18日の朝(08:30)にP25mgを筋肉内単一注射した。4群と5群はそれぞれ発情周期の2〜5日の間、毎朝Pおよびを20α-DHPの25mgを注射した。注射後経時的に頸静脈血の採取と同時に発情周期の長さを測定した。血漿中のホルモン濃度はRIA法により測定した。【結果】1)Pの単一注射郡では、注射後血中20α-DHP濃度はP濃度に追尾して増加し、発情周期の長さはPの単一投与により影響されなかった。P注射後の20α-DHP濃度の増加率は、発情の初期や中期よりも末期で高い傾向が認められた。2)Pの連続注射郡では、20α-DHP濃度はP濃度に追尾して増加し、その後PGFM濃度の増加とP濃度の減少を伴う性周期の短縮が認められた。3)20α-DHPの連続注射郡では、発情周期の短縮が認められなかった。【結論】ヤギの発情周期中では、いずれの時期でもPは不活性物質20α-DHPに速やかに代謝され、20α-DHPの分泌はP代謝の調節機構として働いていることを示唆した。このPの調節機構は初期よりも末期で高いが、大量のPは生理状態を正常に恒常維持するための調節機構が働ききれず黄体退行を引き起こすのかもしれないことを示した。
|
-
[Publications] T. Sawada: "Ettect of oxylocin and indowethacin on the estrous cycle at goats." Prostaglandins. 48・8. 91-98 (1994)
-
[Publications] T. Sawada: "Physiological role of 20α-dihydroprogesterone during the estrous uyele to goats" Theriogenology. (印刷中).