1995 Fiscal Year Annual Research Report
S. hyicusの表皮剥脱毒素産生能と滲出性表皮炎の発症との関連
Project/Area Number |
06660391
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 久聡 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (40154083)
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Keywords | Staphylococcus hyicus / Staphylococcus aureus / 表皮剥脱毒素 / 滲出性表皮炎 / プラスミド |
Research Abstract |
Staphylococcus hyicus表皮剥脱毒素B(shETB)産生株であるP-10株とP-23株を44℃で5代継代培養することにより、2株ずつのプラスミド脱落(P^-)株が得られた。これらの株の培養濾液をニワトリひなに皮下接種したところ、P-23P^-株は表皮剥脱活性を消失していたが、P-10P^-株は依然として活性を示した。各々の親株ならびにP^-株の10倍濃縮培養濾液と抗shETBおよび抗shETA血清を用いてwestern blotを行ったところ、P-10株は抗shETA血清と抗shETB血清の両方と、P-10P^-株は抗shETA血清のみと、P-23株は抗shETB血清のみと反応し、P-23P^-株は何れの抗血清とも反応しなかった。次に、S. aureus表皮剥脱毒素であるETAおよびETB間で高度に保存されている活性関連領域の塩基配列を基にビオチン化DNAprobeを合成し、shETA産生株であるP-1株とshETB産生株であるP-23株の染色体およびプラスミド画分との間でDot hybridizationを行った。本probeはP-1株の染色体画分ならびにP-23株のプラスミド画分とのみ反応した。なお、ETA(染色体性毒素)産生株とETB(プラスミド性毒素)産生株を用いて同様にDot hybridizationを行ったところ、本probeはETA産生株の染色体画分ならびにETB産生株のブラスミド画分とのみ反応した。次に、3週齢のブタに10^9CFUのP-23株とP-23P^-株を皮下接種したところ、P-23株接種豚では24時間以内に皮膚への滲出物の膠着と部分的な表皮剥脱がみられ、その後剥脱部位が広範囲に拡大したが、P-23P^-株接種豚では接種7日後まで全く臨床症状が認められなかった。 以上の成績より、shETAの産生が染色体DNAに、shETBの産生プラスミドDNAに支配されていること、ETとshETの毒素活性関連領域の構造が極めて類似していることならびにshETAとshETBはブタに同様な臨床症状を惹起することが示唆された。また、S. hyicusにはshETA産生株、shETB産生株、両毒素産生株ならびに毒素非産生株が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Watanabe, T. et al.: "Optimum culture conditions for production of exfoliative toxin by Staphylococcus hyicus." Microbiol. Immunol.39. 369-377 (1995)
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[Publications] Tanabe, T. et al.: "Correlation between occurrence of exudative epidermitis and exfoliative toxin producing ability of Staphylococcus hyicus." Vet. Microbiol.48. 9-17 (1996)