1995 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの脳血管におけるβアミロイド蛋白沈着機序に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
06660402
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
島田 章則 鳥取大学, 農学部, 助教授 (20216055)
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Keywords | イヌ / 脳 / βアミロイド蛋白(βAP) / βアミロイド前駆蛋白(βAPP) |
Research Abstract |
βAPPの代謝機序を明らかにする目的で、抗βAPP抗体および抗βAP抗体を用い、イヌの髄膜内細血管および大脳皮質内血管を免疫電子顕微鏡学的に検索し、血管壁構成諸細胞内でのβAPPおよびβAPの局在、特に、プロテアーゼを介しβAPPの代謝に関与することがin vitro下で示唆されているライソゾームとの関係に注目し観察した。 その結果、 1)一部の髄膜内細血管および大脳皮質内血管壁平滑筋細胞細胞質にβAPPおよび抗βAP陽性所見が認められた。 2)両抗体陽性所見ともサイトゾール内に遊離して存在し、ライソゾームをはじめとする細胞内小器官との関連を示唆する所見は認められなかった。 アルツハイマー病罹患患者脳を含むヒトの脳の電顕的検索においては、死後変化の影響を避け難く、βAPPおよびβAPの細胞内外での局在についての詳細かつ十分な情報は得られていない。本研究は、脳実質に比べ組織構築が比較的明瞭で、かつ固定に関し死後変化の影響を比較的受けにくいという特徴を持つ血管へのβAP沈着に検索の焦点を当てること、脳血管へのβAP沈着が顕著な動物であるイヌの灌流固定材料を用いることに特色・独創的な点を有していた。本研究により得られた上記の結果は、細胞膜蛋白であるβAPPの膜貫通領域に位置するβAP部分の代謝がこれまでヒトで報告されているのと同様非常に速いことを示唆している。また、本研究結果は、ライソゾーム内のプロテアーゼを介さないβAPP代謝機序が存在する可能性も示唆している。
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