1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660406
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浜名 克己 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
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Keywords | 乳牛 / 乳頭 / 乳管洞乳頭部 / 乳頭測定 / 乳質検査 / 細菌検査 / 超音波診断 / 病理組織学的検査 |
Research Abstract |
本研究は、乳房炎の発生にとって最も重要な乳頭部と乳頭管の病態生理学的な側面を明らかにすることを目的としている。そのため乳房臓器と生体材料について、超音波診断を含む各種乳房炎検査を実施し、臓器についてはさらに病理組織学的および微生物学的検索を実施している。 本年度は、乳牛の乳頭測定とともに乳質検査、細菌検査を行い、その関連を検討した。その結果、乳房炎陽性群は陰性群に比べ乳頭傾斜度と乳頭管直径の測定値が有意に大きかった。しかし、乳頭長と乳頭管長には有意差は認められなかった。また、乳頭の形態と細菌の分離状況を比較すると、乳頭管直径の大きいものは小さいものに比べ細菌の分離される分房が有意に多かった。以上のことから、乳頭傾斜度の大きい乳頭や乳頭管直径の大きい乳頭は乳房炎に罹患しやすいことが示された。 また乳房材料について、超音波診断と肉眼的および組織学的観察を実施した。泌乳牛の正常な乳頭の超音波断層像は、乳頭壁の表皮、内膜およびフルステンベルグのロゼット部などはエコーレベルが高く、筋層はエコーレベルが低く、乳管洞乳頭部や乳頭管などはエコーフリーな像として描出された。未経産牛の乳頭は乳管洞乳頭部が細いエコーフリーな像を示し、乾乳牛の乳頭は内膜が不明瞭であった。超音波診断では、これらの正常な乳頭の他に、乳管洞乳頭部の閉塞、内膜の肥厚、膿瘍、ポリ-プ、憩室、狭窄、奇形などの診断が可能であり、いずれも形態学的観察所見と一致していた。 これらの研究成果は、乳房炎の早期発見、予防、治療対策の確立に有用である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 元村泰彦 ら: "乳牛乳頭の超音波断層像と形態" 日本獣医師会雑誌. 47. 318-321 (1994)
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[Publications] 元村泰彦 ら: "乳牛の乳頭測定値と乳質" 日本獣医師会雑誌. 47. 387-389 (1994)
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[Publications] Hamana,K.et al.: "Bovine teat morphology and ultrasonic tomography related to milk quality and bacteria." Proc.18th World Buiatrics Congress. 1. 377-380 (1994)
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[Publications] 浜名克己 ら: "一農家に多発した子牛の象皮様病変を主とする致死性中毒症" 鹿児島大学農学部学術報告. 44. 21-28 (1994)
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[Publications] Kamimura,S.et al.: "Turnover of ovulatory and non-ovulatory dominant follicles in postpartum Japanese black cows" J.Reproduction and Development. 40. 171-176 (1994)
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[Publications] Kamimura,S.et al.: "Ultrasonic diagnosis of bovine fetal sex by the relative location of the genital tubercle in early pregnancy." J.Reproduction and Development. 40. 343-347 (1994)
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[Publications] 森純一 ら編: "獣医幾類学 印刷中" 文永堂出版, 約500ページ (1995)
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[Publications] 清水悠紀臣ら編: "獣医伝染病学 第4版 印刷中" 近代出版, 約500ページ (1995)