1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660406
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Research Institution | KAGOSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浜名 克巳 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
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Keywords | 乳牛 / 乳頭部 / 乳腺部 / 細菌検査 / 病理組織学検査 |
Research Abstract |
本研究は、乳房炎の発生にとって最も重要な乳頭部と乳頭管の病態生理学的な側面の解析を目的としている。そのため乳房臓器と生体材料について、超音波診断を含む各種乳房炎検査を実施し、臓器についてはさらに病理組織学的および微生物学的検索を実施している。本年度は、主に微生物学的および病理組織学的検索を実施した。 まず乳牛の臓器材料から乳管洞乳頭部と乳腺部の2カ所に貯留する乳汁を採取し、細菌の汚染状況を比較した。11頭44分房からの細菌の分離状況はStaphylococcus spp.が14分房と最も多く、次いでStreptococcus spp.の13分房、Corynebacterium spp.の6分房の順であった。また、28分房の乳頭部と乳腺部についてみると、細菌陽性の分房は乳頭部が乳腺部よりも有意に多く、総菌数は同様か乳腺部の方が少ないかまたは陰性であった。以上の結果、乳頭部の方が乳腺部よりも多種類と数の細菌汚染を受けていることが判明した。 乳頭の形態と細菌の分離状況をみると、乳頭管直径の大きいものでは小さいものに比べ、細菌の分離される分房が有意に多かった。分離菌(属)と病理組織学的病変との関連性も検討したが、感染細菌の種類による相違はみられなかった。 病理組織学的検索は乳頭先端部、中間部、乳腺部の3カ所について行った。これらの部位では、臨床型乳房炎か潜在性乳房炎かにかかわらず、多くの例に炎症像が認められた。乳腺部では、間質および腺胞腔内の炎症細胞浸潤や間質の肥厚などが多くみられ、乳頭部では、上皮下組織への炎症細胞浸潤や粘膜上皮の剥離などが多くみられ、乳頭内膜炎を併発していた。 これらの研究成果は、乳房炎の早期発見、予防、治療対策の確立に有用である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 元村泰彦ら: "乳牛の乳頭部と乳腺の細菌汚染状況" 家畜診療. 387. 33-35 (1995)
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[Publications] 近藤晋ら: "和牛子牛の後肢球節の異常屈折と分離の集団発生" 臨床獣医. 13(3). 47-50 (1995)
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[Publications] 村上隆之ら: "牛の総肺静脈還流異常20例の解剖学的所見" 日本獣医師会雑誌. 48. 183-186 (1995)
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[Publications] 上村俊一ら: "分娩後の牛の卵胞形成に及ぼすcarry-over effectの影響" 鹿児島大学農学部学術報告. 45. 59-63 (1995)
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[Publications] 大石明広ら: "黒毛和種子牛にみられた悪性黒色腫の1例" 日本獣医師会雑誌. 48. 476-479 (1995)
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[Publications] 斉藤美紀ら: "黒毛和種先天異常子牛5例に認められた染色体異常" 日本獣医師会雑誌. 48. 848-851 (1995)
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[Publications] 森純一ら編: "獣医繁殖学" 文永堂出版, 511 (1995)
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[Publications] 清水悠紀臣ら編: "獣医伝染病学第4版" 近代出版, 426 (1995)