1994 Fiscal Year Annual Research Report
DNA aneuploidyによる腫瘍診断に関する基礎研究
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06660407
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
植村 興 大阪府立大学, 農学部, 教授 (40081591)
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Keywords | と畜検査 / 腫瘍 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
フローサイトメトリーによる屠畜検査の現場における獣畜の白血病や腫瘍の迅速・客観的な診断法に関する基礎的実験を行い、下記の通りの知見を得た。 (1)対照とする正常細胞の選定;同一個体の正常ウシ臓器(腎臓、肝臓、脾臓、肺臓、副腎、リンパ節、骨格筋)ならびに市販の肝臓5種類をpropidium ioide(PI)でDNA染色し、臓器間における発色強度の変動の有無を検討した結果、最大約20%の差が認められた。したがって、DNA Index(DI)を測定するには、リンパ球よりも正常組織を対照とするのが好ましいことが示唆された。 (2)検査材料の処理方法の確立;検体となる臓器固形組織をフローサイトメトリーにかけるためには細胞を単細胞に分散させる必要がある。そのための酵素処理方法を酵素(trypsin,pronase,collagenase,dispase)で検討し、ヒトの細胞分析で用いられている方法(細切-トリプシン処理-エタノール固定-トリトンX100によるDenucleation-PI染色)が適用できることが再確認された。 (3)検査材料の保存方法の確立;同一個体(イヌ臓器)の新鮮材料と凍結保存材料について、DIを比較したが、いずれでも分析可能なことがわかった。 (4)フローサイトメトリー操作法の確立;染色条件(PI、50μM10分)や機器の運転条件(レーザー出力:受光感度の組み合わせ)を検討し、実際の分析が可能と考えられる操作法を見い出した。 (5)DNA Indexの標準値データの集積;予定数に達せず、現在引き続いて検討中である。 (注)DNA Index用検体処理試薬(NUCYCL^<TM>)が米国EXALPHA社から新発売された。本年2月に入手して(2)、(3)、(4)について予備的な比較検討の結果好成績を得た。検体処理の簡易化・標準化によりフローサイトメトリーの実用化が促進されるものと推測された。
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