1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660427
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山下 一郎 広島大学, 遺伝子実験胃施設, 教授 (20144884)
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Keywords | 酵母 / 減数分裂 / フェロモン / 転写調節 |
Research Abstract |
酵母S.cerevisiaeのa/α二倍体細胞は倍地の栄養源が枯渇すると減数分裂へと分化する。これまでに、核局在性Ime2プレテインキナーゼが減数分裂期遺伝子群の転写を活性化することが減数分裂に必須であることを明らかにしてきた。本研究では、栄養源枯渇の情報を個々の細胞が感知した後、細胞集団がフェロモン様分子を介して栄養源枯渇の情報を相互に確認することが減数分裂期への分化に必須であることを提案する。 本年度の具体的成果は次のとおりである。 1.ime2-lacZリポーター遺伝子をもつrmel半数体酵母を変異剤処理し、減数分裂条件下でlacZが発現しない変異株を約4,000株取得した。このなかから、野性株と交差するときlacZの発現が回復する株を5株選択した。これらの株は、自身ではIME2を発現しないが、減数分裂フェロモンの添加によりIME2が発現したことより、フェロモンの生産が特異的に不能になったものと考えられた。 2.遺伝解析の結果、5株の変異株はいずれも同一遺伝子座内に変異をもつことが分かり、soc1(social communication)と命名した。soc1変異をホモにもつa/α二倍体は減数分裂しないことより、減数分裂フェロモンは減数分裂に必須であることが明らかになった。 SOC1遺伝子を単離するために、soc1変異株を受容菌に、ime2-lacZの発現回復を指標として、酵母遺伝子バンクをスクリーニングした。得られた遺伝子の塩基配列より、SOC1はTCAサイクルを駆動する酵素をコードしていた。このことは、減数分裂フェロモンが有酸系化合物であることを示唆するものと思われる。
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