1994 Fiscal Year Annual Research Report
気道上皮におけるニュロン,パラニューロンのwhole mount標本による解析
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06670011
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤田 恒夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00032863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 敏彦 新潟大学, 医学部, 助教授 (10160128)
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Keywords | ニューロン / パラニューロン / 気道 / whole mount標本 / 知覚神経 / CGRP / 鼻粘膜 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
従来、上皮に分布する神経要素の免疫組織学的研究には切片標本が用いられていたが、本研究ではwhole mount標本を鼻粘膜をはじめとする気道の神経分布の研究に応用し、次の結果を得ることができた。 1.イヌの鼻粘膜を酵素を用いて軟骨から剥離し、この標本を各種の神経ペプチドに対する抗体で免疫染色した。呼吸部の上皮にCGRP含有神経が大量に侵入し、上皮内の基底部に数珠状線維の網工をつくり、その枝が上方へ伸びて上皮表面に露出していた。この所見は知覚神経の終末が直接空気に触れて、吸気の化学受容を行なう可能性を強く示唆する。嗅部の上皮内にも若干のCGRP線維網を認めた。 また呼吸部上皮内に少数のVIP神経(NOSの免疫活性を示す)を認めた。副交感性自律神経と思われるこの神経は、上皮に侵入するより大部分、鼻腺の周囲に終末をつくっていた。 本研究ではさらに(不完全)連続切片を作製して、CGRP陽性神経のイヌ鼻粘膜における分布の形態と密度を調べ、吸気がじかに触れやすい鼻粘膜部分にその分布が密であり、自由面に達する神経終末も豊富であることを示すことができた。 2.ヒキガエルの肺のwhole mount標本を作製し、分布する神経線維(ニューロン)とセンサー細胞(パラニューロン)を免疫組織化学によって検索した。両生類では、肺が肺胞に分離せず、ひとつのふくろをなす。この肺のふくろの内面を走る隆起腺の上にGRP陽性細胞とCGRP陽性細胞が集まってパッチをなしている。すでに知られた神経上皮小体で、吸気の化学センサーといわれるものである。このパッチの底面に多数のCGRP陽性神経が分布していた。 結語.哺乳類鼻粘膜と両生類肺を用いて、whole mount標本の免疫組織への価値を証明し、ニューロンとパラニューロンの分布について上記の新知見を得ることができた。今後、さらに電子顕微鏡によって所見を確実にして行きたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fujita,T.: "Sensory cells in the qut." Current advances in digestive disease.ed.by Yoshida,Y.,MUrata,Y.Churchill Livinstone. 41-59 (1994)
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[Publications] Fujita,T.: "Sensor cells and nerve terminals in some gut-derived organs." Proceedings of 14th international congress of anatomy symposium. (印刷中). (1994)
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[Publications] Lee,S.H.: "Regional differnces of CGRP-immunoreactive nerve fibers in nasal epithelium of the rat." Arch.Histol.Cytol.58. 117-126 (1994)
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[Publications] Lee,S.H.: "Nitric oxide synthase in rat nasal mucosa:Immunohistochemical and histochemical localization." Acta Oto-Laryngol.(印刷中).