1994 Fiscal Year Annual Research Report
上皮癒合過程における上皮細胞の動態と癒合機構の解明
Project/Area Number |
06670013
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川真田 聖一 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (30127641)
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Keywords | 上衣 / 癒合 / 接着 / 細胞の極性 / 脳室 / 上皮 / ラット / 線毛 |
Research Abstract |
上皮の癒合現象を解明する目的で、生後2日から1年までのラットを用い、脳室上衣の接着と癒合についてしらべた。生成仔ラットでは、海馬上部を越えて側脳室の上衣が正中側に深く陥入しているが、発育とともに上衣は消失した。上衣の消失には、1)側脳室の正中端が、ファスナ-を閉めるように正中から外側に後退して消失する方式と、2)海馬上部で見られるように、側脳室表面の向かい合う2層の上衣が、接着(2層の上衣が残存)を経て癒合(2層の上衣が1層になりやがて断裂)によって消失する方式の2種類が観察された。これらの現象はすべてのラットで観察されたが、大部分が生後2、3週間以内に起こり、成体ラットでは海馬上部から内側にかけて、上衣細胞はほとんど見られなくなる。しかし、電子顕微鏡などで詳しく観察すると、一部の上衣細胞は元の場所に、神経絨に囲まれて島状に、長く存在することが判明した。 上衣接着部では、2層の上衣層は向かい合い、上衣細胞は正常の極性を保って、規則正しく配列した線毛を互いの方向に伸ばしている。しかし、癒合が始まって2層の上衣層が1層に改編されたり断裂し始めると、多くの上衣細胞では、線毛を2、3の方向に伸ばしたり、細胞内にシスト様の袋を形成してその中に線毛を伸ばすなどの異常が見られた。これは、上衣細胞が脳室とのつながりを失い極性が混乱したため、線毛がいろいろな方向に生えたと考えられる。癒合後も線毛を持って残存する細胞は、以前上衣細胞が存在した場所に限られており、上衣細胞が癒合時に遊走する所見は観察されなかった。 一方、第三脳室では、上衣細胞は接着するものの、この状態に長くとどまって癒合は観察されなかった。むしろ、接着後再び離開すると考えられた。 以上の結果は、口蓋突起の癒合現象と著しく異なっている。また、同じ上衣でも、部位によって差があることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawamata,S.,Stumpf,W.E.,Bidmon,H.j.: "Adhesion and fusion of ependyma in rat brain." Acta Anat.(in press).
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[Publications] Kawamata,S.,Igarashi,Y.: "Growth and turnover of rat otoconia as revealed by labeling with tetracycline." Anat.Rec.(in press).
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[Publications] Ogawa,H.,Kawamata,S.: "Periportal expression of the serine dehydratase gene in rat liver." Histochem.J. (in press).
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[Publications] Ogawa,H.,Kawamata,S.,Gomi,T.,Ansai,Y.,Karaki,Y.: "Laparotomy causes a transient induction of rat liver serine dehydratase mRNA." Arch.Biochem.Biophys.(in press).