1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井関 尚一 金沢大学, 医学部, 教授 (50167251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 雅行 金沢大学, 医学部, 助手 (80251916)
山本 美由紀 金沢大学, 医学部, 助手 (60139780)
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Keywords | 細胞増殖因子 / 成長因子 / 免疫組織化学 / In situ ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
1)酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)に対する特異抗体を用いた免疫組織化学によりラット消化器系を検索したところ、膵臓のランゲルハンス島の辺縁部の細胞と、十二指腸から結腸にかけての粘膜上皮に散在する細胞が免疫陽性であった。前者はグルカゴンを産生するA細胞であり、後者はグルカゴンと共通の前駆体から生成するグルカゴン様ペプチドを産生するL細胞であることがわかった。aFGFの免疫反応性はこれらの内分泌細胞の分泌顆粒内にみとめられた。この結果は、ラット消化器系においてグルカゴン前駆体を発現する内分泌細胞が特異的にaFGFを産生することを示した(論文1)。 2)本学第2外科との共同研究で、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)およびその受容体に対する抗体を用いて32例のヒト膵導管由来の腺癌を免疫組織染色したところ、bFGF陽性の例、受容体陽性の例、および両者陽性の例があった。癌細胞の後腹膜への浸潤やリンパ節転移などで判断した癌の悪性度が高い症例ほど、受容体陽性の細胞の割合が高かった。この結果はヒト膵癌において癌細胞が産生するbFGFがオートクリン・パラクリン機構により癌の進展を助長している可能性を示唆した(論文2)。 3)血管増生および血管透過性上昇をおこすことで知られる血管内皮増殖因子(VEGF)のラット組織における発現と局在を、免疫組織化学およびIn situハイブリダイゼーション法で調べた。ラットの顎下腺は正常ではVEGFをわずかしか発現しないが、動物にイソプロテレノールを投与して顎下腺腺房の増殖刺激を行うと、投与後約1時間をピークとした一過性の著しいVEGF発現の増加が示された。このときVEGFのmRNAおよび蛋白は腺房細胞に局在した。この結果は、顎下腺腺房細胞の増殖機構とVEGF産生との間に何らかの関係があることを示した(論文作成中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ymamoto,M.et al.: "The occurrence of acidic fibroblast growthfactor-like immunoreactivity in subpopulations of endocrine cells in the pancreas and intestine of the rat." Arch. Histol. Cytol.58. 475-484 (1995)
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[Publications] Ohta,T.et al.: "Expression of basic fibroblast growth factor and its receptor in human pancreatic carcinomas" Brit. J. Cancer. 72. 824-831 (1995)