1994 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成のメカニズム-原癌遺伝子c-srcの機能からの解析-
Project/Area Number |
06670017
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
熱海 佐保子 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10110298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川手 豊子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10252024)
坂本 宏史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10162314)
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Keywords | シナプス / c-src / ビソキュリン / α-スペクトリン / 神経成長端 / 免疫細胞化学 / 培養 / 発生 |
Research Abstract |
原癌遺伝子産物pp60^<c-src>は神経細胞に特に多いことが知られているが、機能はまだ明らかではない。我々は従来の研究で神経特異的pp60^<c-src(+)>に対する特異抗体を形成することに成功した。この特異抗体を用い、本年度の研究は、鶏胚脊髄とin vivo及びin vitroの神経筋接合部において、シナプス部におけるpp60^<c-src(+)>の局在の詳細を明らかにすることによりシナプス形成のメカニズムにせまる鍵を得ることを目的とする。本年度は、次年度における実験の基礎造りの意味もあり、培養系における実験を主として行った。 1.シナプス形成前の状態である培養神経細胞の成長端におけるpp60^<c-src(+)>の局在を細胞骨格タンパク質であるactin、vinculin、α-spectrinの分布と比較して検索した。pp60^<c-src(+)>は成長端では3種類の局在が観察された。第一は、成長端体部の細胞膜直下の一部が強い免疫反応性を示す型、第二は、体部の基部から中心領域へかけて免疫反応性が強い型、第三は、免疫反応性が陰性の型である。これに対してvinculinは、成長端体部の一部に中等度の免疫反応性が見られ、伸びてゆく先端部に最も強い免疫反応性が見られた。actinは、成長端の先端部に多く、α-spectrinは、成長端全体に観察された。成長端のfilopodiaには、actin、vinculin、α-spectrin三者とも見られたが、pp60^<c-src(+)>は陽性の場合と陰性の場合があった。pp60^<c-src(+)>とこれらのタンパク質との局在の相互関係を解析するため現在蛍光二重染色の適正条件を模索している。 2.シナプス形成と共にpp60^<c-src(+)>がどのように変化するかを追跡するため、神経細胞と筋細胞の共培養を行い、in vitroで神経筋接合部を形成しつつ、pp60^<c-src(+)>を免疫細胞化学的に検出した。その結果、pp60^<c-src(+)>の免疫反応性が、他細胞に接していない神経成長端よりも、神経突起の終末が筋細胞に接し、シナプスされていると推測される時期の方が著しく高いことが明らかになった。現在、ここにシナプスが形成されているかどうかを検索中であり、またin vivoでも同様の現象が観察されるかどうか検索中である。
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