1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋接合部及び筋紡錘の形成に及ぼす接着並びに成長因子の相関について
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06670025
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
出崎 順三 愛媛大学, 医学部, 講師 (00036451)
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Keywords | 神経筋接合部(NMJ) / 運動終末 / 筋紡錘 / 知覚神経終末 / 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF) / 神経性細胞接着因子(N-CAM) |
Research Abstract |
本研究で用いたラット胸骨甲状筋等の発生において、胎生14日頃単核の筋芽細胞の融合により細胞中心部に核の存在する筋管細胞に分化し、その後筋管細胞は横紋をもつ独立した筋線維に分化し始める。一方、無髄神経線維束は胎生14日頃筋細胞と接触するが、出生直後までの運動神経終末は互いに密接しあった裸の軸索束であり、個々の神経筋接合部(NMJ)は、生後2-3週にかけて成体における一軸索/-NMJの支配様式をとるようになる。一方、筋紡錘を構成する錘内筋線維は胎生後期から出生直後にかけて幼若な紡錘鞘内で単核の筋芽細胞の融合により核袋及び核鎖線維が形成され、両者とも知覚及び運動神経支配を受ける。 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の活性は、通常の骨格筋線維や錘内筋線維の形成される前段階の筋芽細胞や筋管細胞にみられるが筋線維に分化すると共に消失する。また、発生初期から神経線維束内の軸索や筋線維と接触した軸索束からなる運動終末、錘内筋線維を支配する知覚及び運動終末においてもbFGFの活性は認められ、更に成熟した動物においてもその活性は存続する。このことは、神経終末内に存在するbFGFが筋線維の成長や構造維持に少なからず関与していることを示唆させる。一方、神経性細胞接着因子(N-CAM)の活性は、胎生期から生後2-3週の神経線維束や運動終末の密接しあった裸の軸索間にみられ、筋紡錘においては基底板の介在しない知覚終末と錘内筋線維間にみられるようである。生後2-3週にかけて運動終末の多神経支配の消去がおこり、成体における一軸索/-NMJの支配様式になるが、この現象とN-CAM活性の消長等の関係、更には錘外筋線維とは異なる錘内筋線維の成長の抑制をはじめとする種々の構造分化に支配知覚神経が大きな役割を果たしていることが示唆されており、この知覚神経とN-CAM、bFGFの関係をより詳細に解析中である。
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