1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋接合部及び筋紡錘の形成に及ぼす接着並びに成長因子の相関について
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06670025
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
出崎 順三 愛媛大学, 医学部, 講師 (00036451)
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Keywords | 神経筋接合部 / 筋紡錘 / 運動終末 / 知覚終末 / 塩基性線維芽細胞成長因子 / 神経性細胞接着因子 / 免疫電子顕微鏡 |
Research Abstract |
神経筋接合部と筋紡錘の形態形成に関して、生後ラット骨格筋を用いて、両者の形成に及ぼす神経性細胞接着因子(N-CAM)と塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)との相関について免疫電子顕微鏡による観察を行った。 生直後の骨格筋において、小型でbFGF抗血清に強く染色される細胞はミオフィラメントをごく少量含有し、しかも細胞同士が基底板の介在なしに接触している。これらの細胞は将来多核の筋細胞へと分化する筋芽細胞と推定される。細胞内のミオフィラメントが増加するにつれてbFGF免疫反応の強度は減少し、筋線維になると消滅する。生直後の筋内運動神経束ははとんどが無髄神経であるが軸索はbFGF陽性であり、神経終末も強い陽性を示す。その後徐々に神経線維の有髄化が進むが、軸索や運動神経終末はbFGF陽性を呈する。筋線維周辺の線維芽細胞も成体になるまでbFGF陽性反応を示す。一方、生直後の筋紡錘においては、外紡錘鞘は若幼ではあるが形成されており、bFGF陽性を示す。錘内筋線維はこの時期でもうすでに生体におけると同じ数を有しているが、軸鞘の形成が不完全であり、個々の錘内筋線維は完全には分離されておらず、基底板の介在なしで対合しているものもある。この時期の錘内筋線維はbFGF陽性を示さず、錘外筋線維より筋線維への分化が早いものと思われる。外紡錘鞘および軸鞘はbFGF陽性を示すことから線維芽細胞由来であることが示唆される。紡錘内知覚神経および終末もbFGF陽性を示す。bFGFの陽性部位は生直後より変化はなく、両紡錘鞘、知覚および運動神経終末に存在する。 神経筋接合部におけるN-CAMの局在は、生直後よりどの時期においてもシナプス間隙の一部に見いだされる。一方、筋紡錘の生後発生において、生直後においても知覚終末と錘内筋線維間にはN-CAM陽性反応は必ずしも明白ではなかった。
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