1994 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質細胞における「刺激-分泌」連関とその調節機序に関する研究
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06670050
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藁科 彬 新潟大学, 医学部, 助教授 (50064580)
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Keywords | 副腎髄質細胞 / カテコルアミン分泌 / 「刺激-分泌」連関 / レセプター刺激 / 細胞内カルシウムストア / マンガン消光法 / サプシガルギン / リアノジン |
Research Abstract |
副腎髄質細胞のムスカリン、ブラジキニン、ヒスタミンによるレセプター刺激時の、Ca^<2+>の動員機構とカテコルアミン分泌応答の関係を、ラット灌流副腎標本を用いて調べた。これらのアゴニストによる連続刺激により、細胞内遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)と分泌の上昇は、共に、初期の一過性応答と持続性応答とから成る二相を示した。外液にNi^<2+>(0.5mM)を加え、レセプター刺激により引き起こされるCa^<2+>流入を遮断すると、初期相を保持したまま、持続相がほとんど完全に抑制された。一方、髄質細胞へのMn^<2+>の流入を、細胞に負荷したfura-2の蛍光消光(Mn^<2+>quench法)により計測した結果、初期相は、持続相よりも強いMn^<2+>(従って、Ca^<2+>)の流入の生ずることが示めされた。しかし、Ni^<2+>により、Mn^<2+>流入を遮断した状態においても、レセプター刺激による一過性の[Ca^<2+>]_1の上昇は存続した。これらのことから、初期分泌相には、Ca^<2+>の流入とともに、細胞内ストアからのCa^<2+>遊離が関与することが示唆された。次に、EGTAにより外液Ca^<2+>を除去した外液中で、髄骨細胞のレセプター刺激を行うと、ストアからのCa^<2+>流入により、90秒以内に終了する、持続時間の短い、鋭い[Ca^<2+>]_1上昇がみられた。同様の上昇は、caffeine(40mM)による刺激においても認められた。どちらの刺激による[Ca^<2+>]_1上昇も、thapsigargin(500nM)あるいはryanodine(20μM)のによる処理によって完全に消失した。従って、ラット副腎髄質細胞においては、同一Ca^<2+>ストアが、inositol trisphosphate(IP_3)とcaffeineの両者に感受性をもつことが示唆された。しかし、レセプター刺激による分泌はthapsigarginあるいはryanodine処理により、ほとんど影響されず、分泌に関与するCa^<2+>ストアとして、新しいタイプのストアの存在を検討する必要があると考えられた。
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[Publications] 藤原 直士: "Characterzation of low pll-induced catecholamine secretion in the rat adrenal medulla." Journal of Neurochemistry. 62. 1809-1815 (1994)
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[Publications] Julia Busik: "Effect of SK&F96365 on nicotinic or muscarinic agonist-induced and spontaneous Ca^<2+> dynamics in rat adrenal chromaffin cells." Biomedical Research. 15. 155-163 (1994)
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[Publications] 藁科,彬: "[Ca^<2+>]_1 changes arising in individual guinea-pig chromaffin cells in response to various receptor agonists and their relation to catecholamine secretion in the perfused adrenal galnd." Biomedical Research. 15. 217-280 (1994)