1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロペプチド受容体機能の遺伝子工学的および電気生理学的研究
Project/Area Number |
06670062
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
吉田 繁 福井医科大学, 医学部, 助教授 (60145224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷山 紘太郎 長崎大学, 医学部, 教授 (70030898)
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Keywords | ニューロペプチド / 受容体 / 遺伝子工学 / 電気生理 |
Research Abstract |
1.摘出小腸条片に対するVICの腸管収縮作用: VICは、腸管のコリン作動性神経のVIC受容体に作用して神経末端からアセチルコリンを放出させる事によって消化管平滑筋細胞を収縮させた。さらに、VICが消化管平滑筋細胞のエンドセリンB型受容体に直接働きかける事によっても平滑筋を収縮させた。また、腸管平滑筋細胞に脱感作を起こさせた状態でもVICに対する反応は影響されなかったので、VIC受容体はエンドセリン受容体とは別物であると考えられた。 2.腸管におけるVIC受容体の存在確認と分布状況: アイソトープ(125-I)でラベルした血管作動性腸管収縮ペプチド(VIC)を使用し、オートラジオグラフティー法でVIC受容体の腸管における存在を調べた。VIC受容体はラット小腸組織の神経叢と筋肉層に存在しており、VICの遺伝子が主として腸で発現されている事を裏付けた。また、VIC受容体とエンドセリン受容体の分布は異なっていたので、両者は別の受容体である事が判明した。 3.アフリカツメガエル卵細胞におけるVIC受容体の発現: 筋肉細胞や神経細胞が複雑に連絡しあっている腸管を使用してのVIC受容体の研究には限界があるので、ラット腸管から抽出したmRNAをアフリカツメガエル卵細胞に注入して発現させたVIC受容体についての実験をおこなった。VIC受容体を発現した卵細胞からは、双電極膜電位固定法によって内向き電流が観測された。 このような受容体発現は世界で最初の成功例であり、VIC受容体そのものの性質を明らかにする事が可能であるだけでなく、まだ充分に解明されているとは言い難いエンドセリン受容体の機能や性質を見直す材料をも提供するものと思われる。 現在、アフリカツメガエル卵細胞に発現させたVIC受容体のイオン機構や細胞内情報伝達系などを、遺伝子工学と電気生理学の技法を用いて解析中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 谷山 紘太郎: "消化管運動における内因性活性物質の作用" Therapeutic Research. 15(Suppl.1). S255-S262 (1994)
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[Publications] S.Kan: "Specific receptor for vasoactive intestinal contractor in myenteric cholinergic neurones" European Journal of Pharmacology. 258. 139-143 (1994)
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[Publications] S.Yoshida: "Expression of specific receptors for vasoactive intestinal contractor in Xenopus oocytes injected with mRNA from rat intestine" Third Congress:Federation of Asian and Oceanian Physiological Society (Abstract Volume). 252- (1994)