1994 Fiscal Year Annual Research Report
単一心室筋細胞無酸素暴露によるイオンチャネル活性化の機序とその役割
Project/Area Number |
06670064
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
有田 眞 大分医科大学, 医学部, 教授 (60037364)
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Keywords | 単離心室筋細胞 / アノキシア / ATP感受性Kチャネル / パッチクランプ / 活動電位 / 酸化的燐酸化 / 嫌気的解糖 |
Research Abstract |
大気中の酸素から細胞と潅流液を隔離し,単一心室筋細胞を虚血類似状態に置くため,特殊な半密閉式容器を作製した。この中に細胞を入れ,無酸素・無グルコースタイロード液で潅流を行うと,心筋細胞の活動電位は平均13分30秒でスパイク状に短縮し,再酸素化すると急速に回復した。このとき同一時間経過でATP感受性カリウムチャネルの活性化が生じていることが,膜電位固定法で明らかとなった。このATP感受性カリウムチャネルの活性化は,心筋虚血時の細胞傷害や虚血再潅流性不整脈の発生や防止に深く関与していると思われるが,今回はこのチャネル活性化の機序を細胞内のエネルギー代謝の面から検討した。その結果,このチャネルは,通常は酸化的燐酸化によって産生されたATPによって開口が抑制されているが,虚血時や無酸素時には酸化的燐酸化によるATP産生が著明に抑制される結果,開口が生じることが明らかになった。また嫌気的解糖系によるATP産生は,従来の考えとは異り,このチャネルの活性化を補助的に調節しているに過ぎないことが判明した。すなわち細胞内のエネルギー産生系の微妙なバランスの上でこのチャネルの活性化は規定されている。なお,今回研究費で購入した解析用コンピューター(Macintosh520)とデーター解析用インターフェイス(MacLab/2e)は,膜電位・膜電流の解析と電気刺激発生用として使用した。また解析データ記録用リム-バブルハードディスク(RM270L)を使用することによりデーター解析の効率化が得られた。
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