1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの自律神経反射におよぼす運動鍛練の影響に関する研究
Project/Area Number |
06670092
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
佐川 寿栄子 産業医科大学, 医学部, 助教授 (20035489)
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Keywords | 運動鍛練 / 血圧反射 / 姿勢変換時耐性 / 心肺圧受容器 / LBNP |
Research Abstract |
本研究の目的は運動鍛練されたヒトの姿勢変換時耐性の低下の原因として頸動脈圧受容器(高圧系)および/または心肺圧受容体(低圧系)を介した血圧反射の感受性の低下またはリセッティングが関与しているか否かを調べることである。初年度の研究において、運動鍛練者は非鍛練者に比べて、頸動脈圧受容器-心臓反射の感受性はむしろ増大していることを明かにした。本年度は下半身陰圧負荷装置(Lower Body Negative Pressure, LBNP)を作成し、0から-60mmHgまで-10mmHgごとに3分間づつ下半身陰圧負荷を行い、心臓循環系の反応を調べた。運動鍛練者としては、6年間以上長距離選手としてトレーニングしている体育選考女子学生20名(18-19才)、非鍛練者として医学部女子学生9名(18-22才)を被験者とした。その結果、実験中失神前兆候を示してLBNPを-60mmHgまで完遂出来なかった被験者は、非鍛練者では9名中2名(22%)であるのに対し、運動鍛練者では20名中12名(60%)と有意に高率であった。この失神前兆候は両グループ共に突然の徐脈と血圧下降が起きるvasovagal syncopeであった。血圧反射応答の感受性は失神兆候者と正常者の間で差が見られなかった。次いでLBNPの圧力を0から-20mmHgまで-5mmHgごとに3分間づつ下半身陰圧負荷を行って、低圧系圧受容器のみを刺激する実験を行ったが、両グループ共に失神前兆候を示した者は無かった。以上から運動鍛練者の姿勢変換時耐性の低下の原因として、心肺圧受容器(低圧系)を介した血圧反射の感受性の低下は関与していないことが推測された。
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