1995 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体および脳神経ペプチド受容体遺伝子発現のエストロゲンによる調節機序の解析
Project/Area Number |
06670095
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE FOR NEUROSCIENCE |
Principal Investigator |
木村 信子 東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 主任研究員 (70100138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 和子 東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 研究員
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Keywords | 神経ペプチド受容体 / ソマトスタチン受容体 / TRH受容体遺伝子 / エストロゲン / 下垂体 / mRNA |
Research Abstract |
エストロゲン(E_2)は下垂体前葉の神経ペプチド(ソマトスタチン(SS),TRH)受容体結合活性を正に調節する。E_2はTRH受容体遺伝子の発現を転写レベルで調節していることを私達は示してきた。本研究はこれらの受容体のE_2による発現調節機序を分子レベルで解析することを目的としている。昨年度は下垂体腫瘍株下細胞GH_3のSS受容体結合活性のE_2による正の調節の機序として受容体サブタイプ遺伝子SSTR1,2のmRNAレベルの正の調節に基づく可能性を示したが、今年度は次の成果を得た。(1)腫瘍化細胞と下垂体のSS受容体の生化学的特性は一致しいないことが報告されているのでサブタイプ遺伝子の発現に相違があることが推測された。そこで5種類のサブタイプのcompetitive RT-PCR法を確立し、微量のRNAから各mRNA量を測定した。ラット下垂体とGH_3細胞では各サブタイプの発現量比は異なっていた。下垂体では、SSTR2,3,5のmRNAレベルは高く、SSTR1,4のmRNAの発現は2桁も低かった。GH_3細胞では特にSSTR1の発現が顕著に高値を示した。下垂体初代培養細胞を用いてGH_3の長時間作用を調べたところ最も顕著に誘導されたのはSSTR3mRNAで、次にSSTR2mRNAであり、SSTR5mRNAの発現に対しては抑制的であった。両細胞系ではサブタイプのmRNA発現量は異なっているものの、E_2はSSTR3,2のmRNAの発現を正に、SSTR5mRNAの発現を負に調節していた。(2)E_2の転写調節に対する作用機序を明らかにするため、TRH受容体遺伝子を単離し、その5′上流(約1.1kb)の構造を調べたところ、TATAボックスを持たず、GCF,AP1,AP2,half GRE,half TREなどの結合モチーフが認められた。しかし。E_2受容体の応答配列EREはこの遺伝子配列には認められなかった。以上の結果から、E_2は恐らくE_2受容体を介して、プロモーター領域に作用する転写因子と協調しながら、神経ペプチド受容体遺伝子の発現を調節し、下垂体受容体活性結合を正に調節しているのではないかと推測される。
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Research Products
(1 results)