1995 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによるアルドース還元酵素欠失マウスの作製とヒト酵素の発現
Project/Area Number |
06670132
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Research Institution | National Children's Medical Research Center |
Principal Investigator |
西村 千尋 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部, 室長 (70150571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小海 康夫 札幌医科大学, 病理学教室, 助手 (20178239)
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Keywords | アルドース還元酵素 / ジーンターゲティング / 糖尿病合併症 |
Research Abstract |
本申請者らはラットアルドース還元酵素(AR)のcDNAをプロ-としてマウス腎臓cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、従来マウスARとして報告されていたmouse vas deferens protein(MVDP)とは異なるがラットARと97%の相同性を有する新しいクローンを単離した。本cDNAの蛋白コード領域を大腸菌系にて発現した組み換え蛋白はARとしての酵素学的特徴を示したことから、MVDPはマウスARとは異なった蛋白であり我々が新たに単離したクローンがマウスのARをコードするものであることを報告した。この結果はARと高い構造類似性(約70%)を有する近縁蛋白MVDPがマウスに存在することを示すものであった。そこで本年度はARの近縁蛋白mRNAの腎臓における局在についてさらに検討を進めることとした。ARmRNAはマウス腎臓でinner medullaとpelvisに局在が認められた。一方、MVDPと最近新たなAR近縁蛋白として報告されたfibroblast-growth-factor-1-regulatated protein(FR-1)とは腎臓juxtaglomerular cellsに局在することが明らかになった。この結果はARと構造の類似した近縁蛋白がARとは全く異なった生理機能を担っている可能性を示唆している。 また本年度マウスAR遺伝子クローンの制限酵素地図とエクソン1から9までの配列解析を終了し、現在エクソン2と3をターゲットとしたノックアウト用ベクターの作製を進めている。当初の計画より大幅な遅れを生じたが、マウスには局在の異なるAR類似蛋白(MVDP,FR-1)が存在するという新しい知見は今後の本研究の展開に重要な意味を持つものと考えられる。
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