1995 Fiscal Year Annual Research Report
造血反応を調節するサイトカインLD78の負の遺伝子発現制御機構
Project/Area Number |
06670149
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野見山 尚之 熊本大学, 医学部, 講師 (00156225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 洌 熊本大学, 医学部, 教授 (70093466)
棚瀬 純男 熊本大学, 医学部, 助教授 (20112401)
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Keywords | サイトカイン / ケモカイン / LD78 / 転写調節因子 / サイレンサー / MCP-3 / YAC / データベース |
Research Abstract |
ヒトのサイトカインLD78は細胞増殖や炎症に関与するケモカイン・ファミリーのメンバーである。我々はこのLD78遺伝子のプロモーター中に正および負に働く転写因子が結合する制御配列ICK-1のほかに第2イントロン中にサイレンサーが存在することを見い出した。このサイレンサーはマイトジェンPHAによってmRNAが発現誘導されるT細胞株Jurkatなどでもプロモーターの活性を完全ではないが、ある程度抑制することから、mRNAを発現する細胞にはモジューレーターとも呼ぶべき配列に結合する因子が存在し、それがサイレンサーを細胞特異的に不活化すると考えられた。本研究ではこれらの配列の解析やそれらに結合する因子の精製を試みたが、現在の精製技術では非常に困難であることがわかった.一方、同じケモカイン・ファミリーのメンバーであるmonocyte chemotactic protein-3(MCP-3)のプロモーター解析を行ったところ、MCP-3 mRNAを構成的に発現している骨肉腫細胞株MG-63のほかに、mRNAを発現していない細胞株HeLaなどでも強いプロモーター活性を示した.LD78プロモーターも同様にmRNAを発現していないHeLa細胞で強い活性を示すことから、LD78遺伝子のイントロン中の弱いサイレンサーのほかに、より強力なサイレンサーが存在し、しかもそのサイレンサーはクラスターを形成しているケモカイン遺伝子全体の発現を制御している可能性が示唆された.そこでまずこのケモカイン・ファミリーの遺伝子クラスター全領域の構造を明らかにするために、酵母人工染色体(YAC)の単離を行った.その結果数MbにわたるYACコンティグを作製し、既知のケモカイン遺伝子のほかに、expressed sequence tags(EST)データベースから見いだした新ケモカイン遺伝子4個もそのコンティグ内にマップされた.したがってこのコンティグ内に未発見のケモカイン遺伝子やサイレンサー配列が存在していると十分予想される.今後このYACを用いてのサイレンサー配列の同定やそれに結合する因子の解析へと研究を進めたい.またESTデータベース検索の結果をデータベースdbCFCとしてまとめ、インターネットのWWWで公開を始めた(URL:http://cytokine.medic.kumamoto-u.ac.jp/).
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