1994 Fiscal Year Annual Research Report
脳グルタミン酸デカルボキシラーゼの基質認識機構に関する酵素学的研究
Project/Area Number |
06670155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植野 洋志 京都大学, 農学部, 助教授 (30241160)
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Keywords | 神経伝達物質 / GABA / GAD / HDC |
Research Abstract |
ラット脳由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)のアイソザイムであるGAD65の酵母における大量発現系を本学工学部田中渥夫研究室との共同研究にて開発した。10リットルの酢酸を誘導体とする液体培地にて培養後,5-10g/リットルの菌体が得られた。粗抽出液中でのGAD活性は約50nmol/min/mgであり,SDS-PAGE後のWesternブロット解析では抗GAD65モノクローナル抗体に反応するバンドが分子量65kDに見つかった。現在,イオン交換クロマトグラフィーによる精製を行っている。 酵素の基質認識機構解明にはその酵素と類似の酵素との比較検討は重要である。グルタミン酸デカルボキシラーゼとヒスチジンデカルボキシラーゼとは一次構造上での相同性が高い。未だ,大量培養系が確立されていなく,その酵素学的性質の解明が困難なヒスチジンデカルボキシラーゼの遺伝子操作による発現系の確立を目指した。東北大学医学部渡邉建彦研究室より提供されたヒト由来のヒスチジンデカルボキシラーゼ遺伝子を田中研究室にて開発された酵母での発現ベクターに挿入した。超微量ヒスタミン定量において発現菌体よりの粗抽出液中でのヒスチジンデカルボキシラーゼ活性を確認した。今後,二つのデカルボキシラーゼの精製を続け,酵素の基質特異性について研究を展開してゆきたい。
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