1994 Fiscal Year Annual Research Report
ジペプチヅルペプチダーゼIV変異体の小胞体内分解機構の解析
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06670157
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
緒方 繁憲 福岡大学, 医学部, 助手 (30131816)
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Keywords | ジペプチヅルペプチダーゼIV / 小胞体 / クオリティ・コントロール / CD26 |
Research Abstract |
Dipeptidyl-peptidase IV(DPP IV)は、小腸および腎臓の刷子縁膜や肝細胞のbile canalculiに豊富に分布するセリンプロテアーゼとして知られている。この酵素は、そのNアミノ末端側に切断されない疏水性のsignal peptidesを持っており、典型的なType II型の細胞表面膜蛋白質である。最近、このDPP活性の欠損しているものがFoscher 344 ラットで見つかった。我々は、肝および腎のDPPmRNAのサイズ、発現量を調べた結果、正常ラットと欠損ラット間に差はなかった。cDNAの分離、塩基配列の決定により、DPPの推定アミノ酸配列GLy633(GGA)Arg(AGA)の変異が認められた。この部位はDPP IV の活性部位(G-X-S-X-G)に位置していた。さらに、Pulse-Chaseの実験により本酵素の活性部位に-残基置換が起こると、新しく合成された変異体は細胞表面には出現せず、小胞体で速やかに分解されることを明らかにした。 さらにこの分解機構において、DPP IVの膜結合部位の関与を検討するため、DPP IV のLeu^<28>→Alaの可溶化型変異体を作成してCOS-1細胞に発現させ、その生合成、分解を解析した。その結果、次の点を明らかにした。1)。本酵素はN末端のシグナルペプチドによって膜に結合しているが、シグナルペプチドの疏水性アミノ酸を改変するとシグナルペプチドが切断されて、DPP IVは細胞外へ分泌されるようになる。しかし、2)分泌型になっても活性部位変異体は、膜結合型の場合と同じように小胞体に停留され分解される。さらに、3)変異体は生合成後、多量体を形成することがわかった。すなわち、活性部位の変異によって多量体(凝集化)になったDPP IVは、異常蛋白質として小胞体の蛋白分解系によって処理されるものと思われる。 また、Proteolytic fragmentは検出できなかったけれども、DSP cross liking法により、いくつかの会合しうる分子種を同定することができた。最終的にこの蛋白分解系にいかなるプロテアーゼが関与しているのか検討する目的で、プロテアーゼ・インヒピタ-のこの分解への影響を調べたが、培養細胞へのインヒピタ-の透過性や細胞毒性の問題があり、明確な結果がえられなかった。しかし、ALLNやTPCKの作用に若干のポジティブな反応がみられることから、小胞体内で最終的にCystcinc protcascの関与により分解される可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ogata,S.& Fukuda,M.: "Lysosomal targeting of Limp H membrane glyoprotein requires a novel Leu-Ile motif at a paticular position in its cytoplasmic tail." J.Biol.Chem.269. 5210-5217 (1994)
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[Publications] Ogata,S., Ikehara,Y.& Ferguson,M.A.J.: "Structure of the glycosylphosphatidylinositol membranc anchor og human placental alkaline phosphatase." Biochem.J.302. 861-865 (1994)
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[Publications] Ikehara,Y.,Ogata,S.& Misumi,Y.: "Dipeptidy-peptidase IV from rat libvr;Proteolytic Enzyme:Serine and Cysteine Peptidases.Mcthods in Enzymology" (Barrett,A.J.eds)Academic Press,vol.244,215-227 (1994)