1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の細胞内情報伝達系転換因子の精製とその制御機構の解析
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06670158
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
梶山 泰生 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (70250214)
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Keywords | 肝細胞 / 接着 / 複合糖質 |
Research Abstract |
(1)肝細胞の細胞膜を介する接着には、表層のガラクトシドが関与することが示唆された。成熟ラットの肝細胞と成熟ラットの肝細胞膜との接着性を、糖鎖切断酵素を使用することで調べてみた。すると細胞膜をガラクトシダーゼで処理すると肝細胞は肝細胞膜にほとんで接着しないことが示唆された。さらにエンドグリコシダーゼFで処理でも、接着性が消失した。そこで肝細胞の接着特異性を調べると末端ガラクトシドに肝細胞が接着し、結合特異性は観察されず末端ガラクトースを認識することが示唆された。なお末端がシアル酸であるGM3とはほとんど接着しなかった。そこで肝レクチンの糖結合認識部位に対する抗体を処理しても肝細胞の接着には影響しなかった。さらに接着における金属イオン依存性を調べると、肝細胞の接着にはCa^<2+>は不必要でMg^<2+>は必須であることが示唆された。(2)肝細胞は細胞膜の接触なしに初代培養すると、α_1-受容体を介する代謝応答がβ-受容体を介する応答に数時間で転換する(アドレナリン作動性応答の「α→β転換」と略する。)。この転換には肝細胞の接着が重要であることが報告された。さらにこの転換には肝細胞膜上の糖蛋白質の関与が示唆された。肝細胞の接着では、肝細胞に対して細胞膜と末端ガラクトシドが競合し接着結合することが観察された。(3)さらに幼若期のラットの肝細胞では、シアル酸 がガラクトシドに付加することで肝細胞の接着を阻害していることが示唆された。幼若期の肝細胞膜をシアリダーゼで処理すると成熟期のラットの肝細胞膜を模倣することができた。(4)肝細胞の接着特異性があまりなく末端ガラクトシドであることからこの肝細胞膜の有効因子の精製を保留し、接着結合に関わる因子に対するモノクロナール抗体の作成の準備を現在進めている。
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Research Products
(1 results)