1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の細胞内情報伝達系転換因子の精製とその制御機構の解析
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06670158
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
梶山 泰生 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (70250214)
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Keywords | 肝細胞 / 接着 / 複合糖質 / ガングリオシドGM3 |
Research Abstract |
本研究の中で、「生後3週令前後のラットの肝細胞が、ガングリオシドGM3に一過性に強く細胞接着することを見いだした。」そこで、GM3に対する肝細胞の接着結合を阻害するモノクロナール抗体を作成することを試み、成功した。モノクロナール抗体の作成には、生後24日の肝細胞をマウスに免疫し、幼弱期と成熟期の接着能の違いから、FACS解析し、さらに肝細胞がGM3に接着することを、選別した6-18抗体が阻害するかどうかを調べることで、GM3を認識する分子に対するモノクロナール抗体を作成した。肝細胞がGM3に接着する様式を次に説明する。(1)生後24日を最大にし、前後数日であること。(2)GM3に対する抗体(M2590)をGM3に結合させると肝細胞の接着は吸収された。さらにアイソタイプが同一のlgMでは肝細胞はGM3に接着した。このことから肝細胞はGM3を認識していることが示唆された。(3)糖鎖特異性を調べてみると、GM3には、強く接着し、GD3には接着しないこと、さらにGM2, GT1b, GM1には中程度に接着した。このことから肝細胞は、Siaα2-3結合を認識していた。(4)作成した6-18抗体は、GM3に対する肝細胞の接着を10 μg/mlで完全に抑制した。(5)作成した6-18抗体認識分子は、FACS解析の結果、幼弱期の肝細胞、成熟期の肝細胞に、細胞表面に発現していた。(6)肝臓の凍結切片を作成し、蛍光免疫染色を行った結果、6-18抗体認識分子は、生後24日の肝臓では、肝小葉全体に分布していた。一方、成熟期では、肝小葉の中心の肝静脈の周辺部に局在化した。(7)肝細胞を可溶化し、6-18抗体で免疫沈降し、その後Western Blotting分析すると、6-18抗体認識分子は、SDS-PAGE上で、相対分子量48KDaを示した。
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[Publications] Yasuo Kajiyama, Yutaka Sanai, and MIchio Ui: "Essential role of asialoglycoprotein for plasma-membrane-induced inhibition of the switching from α1-to β-subtypes in adrenergic response during primary culture of rat hepatocytes" Biochemical Journal. (in press).
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[Publications] 梶山 泰生、佐内 豊: "分子間相互作用実験法(細胞・糖鎖相互作用実験法)" 羊土社(発行予定),