1994 Fiscal Year Annual Research Report
In situ PCR法による菌状息閉症境界病変の早期確定診断
Project/Area Number |
06670202
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
新井 栄一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60167228)
|
Keywords | PCR / in situ hybridization / T cell receptor / γ鎖 / パラフィン切片 / 皮膚リンパ腫 / 菌状息閉症 |
Research Abstract |
本年度はホルマリン固定パラフィン包埋材料におけるPCR-in situ法によるT-cell receptor(TCR)の形態学的同定法作成のための基礎実験を終了した.TCR-γ鎖のVγ,Jγ-regionはそれぞれ12ヶと3ヶのsegmentからなっている.このsegment数に最も対応しているAligaraら(Daign Mol Pathol 3:275,1994)の方法に準拠して9ヶのVγと3ヶのJγに対するprimerを設定し,さらにパラフィン切片に適合するように新たにinner primerをJγ側に作成してsemi-nested PCR法とした.その結果,31例の皮膚T細胞性リンパ腫において15例の陽性所見が得られた(1995年度日本癌学会出題予定).今後は陽性となったprimersのなかの有効なprimerの組合わせを同定することによりTCR-γ鎖のPCR-in situ同定法を完成していく予定である. また,本年度はhistologically malignant clinically benignな皮膚リンパ増殖性疾患について免疫学的・分子遺伝学的検索を行ない,臨床的には良性の経過をとるが,増殖するリンパ球そのものはmonoclonalityを示すリンパ腫細胞であることを明らかにした.皮膚科領域ではmycosis fungoides(MF)が悪性リンパ腫ではあるものの臨床経過の長いものとして知られているが,MFと異なって表皮親和性を示さないリンパ腫でも本症例のように長い経過を示し得ることが証明された(研究成果の1;新井ほか:皮膚のリンフォーマ 13:82-85,1994).さらに,14歳まで消退しなかったinfantile digital fibromatosis(IDF)の検索を行ない,TUNEL法により分子遺伝学的にapoptosisに陥っている細胞の残存が同定できた.通常3〜4歳までに起こる消退現象が起こらなかったのは,この疾患に通常見られるcataclysmic apoptosis(Majno G.et al:Am J Pathol 146:3,1995)が何らかの原因で不完全であったのではないかと推測された(研究成果の3;新井ほか:日本病理学会雑誌 84:208,1995).
|
-
[Publications] 新井栄一: "Hitologically malignant,clinically benign皮膚リンパ増殖性疾患.Non-epidermotropic typeの1例." 皮膚のリンフォーマ. 13. 82-85 (1994)
-
[Publications] 工藤 聡: "鰓性癌の1例" Skin Cancer. 9. 334-336 (1994)
-
[Publications] 新井栄一: "14歳まで消退しなかったinfantile digital fibromatosis(IDF)の病理学的検討" 日本病理学会雑誌. 84. 208 (1995)