1995 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体に集積するCD8陽性リンパ球による糸球体傷害機序の解析
Project/Area Number |
06670216
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Research Institution | Niigata University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 格 新潟大学, 医学部, 助教授 (30092737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢尾板 永信 新潟大学, 医学部, 助手 (00157950)
木原 達 新潟大学, 医学部, 教授 (80018324)
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Keywords | 抗基底膜抗体 / 糸球体腎炎 / CD8 / リンパ球 / マクロファージ / 接着分子 / サイトカイン / パ-フォリン |
Research Abstract |
WKYラットに抗糸球体基底膜抗体を投与して起きる糸球体腎炎モデルでCD8陽性リンパ球を介したマクロファージの集積機序に関与する接着分子やサイトカインと糸球体障害因子を追求した。その結果、WKYラットに抗糸球体基底膜抗体を投与すると糸球体内皮細胞の接着分子ICAM-1のmRNAおよび蛋白の発現が高まり、CD8陽性リンパ球やマイクロファージが糸球体に集積するのに接着分子ICAM-1の発現が関与していることが明らかになった。このICAM-1の発現の促進はCD8陽性リンパ球を減少させておいたWKYラットでは起きず、サイトカインのTNF-αの発現ど平行していたことから、CD8陽性リンパ球によるTNF-αの発現、または誘導がICAM-1の発現の促進に関与していると考えられた。一方、ICAM-1と接着するCD8陽性リンパ球とマクロファージの接着分子LFA-1はMIP1α、MIP1β、MCP-1などのケモカインで活性化されると共に、それらの白血球遊走活性によりCD8陽性リンパ球とマクロファージが糸球体に集積すると推定された。また、糸球体に集積しているリンパ球のT細胞受容体VβをRT-PCRで検索した結果、Vβ2,8.5,19をもつTリンパ球の関与が示唆され、障害因子としては細胞傷害性Tリンパ球やナチュラルキラー細胞の主たる細胞傷害因子であるperforinが関与していることが明かになった。これらのことからこのモデルでは細胞傷害性Tリンパ球やナチュラルキラー細胞がCD8陽性リンパ球として関与していると考えられた。
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[Publications] K.Kawasaki 他: "Therapeutic effect of combined treatment with monoclonal antibodies against intercellular adhesion molecule 1 andlymphocyte-function-assocated antigen 1 in Masugi nephritis of WKY rats." Nephron. 71. 101-102 (1995)
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[Publications] I.Kihara 他: "Limitations of podocyte adaptation for glomerular injury in puromycin aminonucleoside nephrosis." Pathology International. 45. 625-634 (1995)
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[Publications] S.Goto 他: "Expession and localization of inducible nitric oxidesynthase(iNOS)in anti-Thy-1 glomerulonephritis." American Journal of Pathology. 147. 1133-1141 (1995)
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[Publications] T.Yamamoto 他: "CD8+lymphocytes play a central role in the development of anti-GBM nephritis through induction of ICAM-1 and Chemokines in WKY rats." Contribution Nephrology. 118. 118-121 (1996)
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[Publications] 山本 格: "現代病理学大系 補遺3;糸球体腎炎とサイトカイン." 中山書店, 77-83 (1996)
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[Publications] 山本 格.: "内科学;糸球体疾患の成因と進展機序に関する最近の知見." 医学書院(印刷中),