1994 Fiscal Year Annual Research Report
鉄キレート誘発ラット腎細胞癌におけるras,p53遺伝子変異の検討
Project/Area Number |
06670228
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
濱崎 周次 岡山大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50208576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 茂 岡山大学, 医学部, 教授 (20033201)
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Keywords | ras / p53 / rat / 化学発癌 / 腎癌 / ラジカル |
Research Abstract |
鉄キレートである鉄NTAをラット,マウスへ長期投与すると高率に腎細胞癌が発生する.この鉄NTA発癌系では,鉄関連ラジカルによるDNA修飾が発癌に関与している可能性が示唆されている.本研究の目的は,鉄NTA誘発腎癌におけるras,p53遺伝子変異の有無を検索し,観察された変異がラジカルによるDNA装飾で説明できるかを検討するものである. 鉄NTA投与ラットの腎癌組織(凍結材料および,パラフィン包埋病理標本)よりDNAを抽出し,K-,H-,N-rasおよびp53遺伝子をpolymerase cain reaction(PCR)増幅した.ras遺伝子についてはdirect sequencingを行い,point mutationのhot spotであるexonl,codon 12,13およびexon 2,codon 61の変異の有無を検討した.またp53遺伝子についてはsingle strand conformation polymorphism(SSCP)法によりshiftの見られた腫瘍について,direct sequencingを行い,点変異の有無を検索した. 平成6年度には11腫瘍について検討を行ったが,K-,H-,N-ras遺伝子については点変異は全く認められなかった.また,p53遺伝子については1腫瘍においてexon6,codon 199のC→T変異が認められた.ラジカルによるDNA修飾ではG→T変異が発生するとされており,今回観察されたC→T変異とは一致しない. 現在までのところ,鉄NTA発癌系にはras,p53遺伝子変異の関与はないと考えられるが,更に腫瘍例数を増やし検討中である.
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[Publications] S.Okada: "Iron-induced carcinogenesis in experimental animal: A free radical mechanism of DNA damage and carcinogenesis" In Oxidative Stress and Aging (R.G.Cutler,L.Packer,A.Mori,eds.),Birkhaeuser Verlag Basel/Switzerland. 97-106 (1995)