1994 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈平滑筋細胞増殖に及ぼす血小板と凝固因子の影響
Project/Area Number |
06670236
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
住吉 昭信 宮崎医科大学, 病理学第一講座, 教授 (80038695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木佐貫 篤 宮崎医科大学, 病理学第一講座, 助手 (70253846)
丸塚 浩助 宮崎医科大学, 病理学第一講座, 助手 (00239154)
浅田 祐士郎 宮崎医科大学, 病理学第一講座, 助教授 (70202588)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 内膜肥厚 / 血小板 / 組織因子 |
Research Abstract |
家兎大動脈をバルーンカテーテルにて内膜傷害を施行し、内膜肥厚モデルを作製した。さらに内膜傷害施行後、2、4、8週後の大動脈を同様に傷害し、再障害モデルを作製し、形態学的・免疫組織化学的検討を行った。また家兎大動脈よりの培養平滑筋細胞を用いて、細胞増殖・遊走実験を行った。 得られた結果: 1.内膜肥厚巣形成後の家兎大動脈の内膜再傷害部では正常血管の内膜傷害後に形成される血栓に比してかなり大きな壁在血栓が形成された。 2.再傷害後の血栓は、正常血管の内膜傷害後に形成される血小板が優位な血栓と異なり、フィブリン優位であった。 3.内膜肥厚巣の平滑筋細胞には中膜のそれと比して、PDGFおよび組織因子の強い発現を認められ、傷害後4、8週後まで認められた。 4.再傷害後におこる内膜肥厚巣は非常に厚く、BrdUを用いた平滑筋細胞の増殖能の検討でも高い傾向であった。 5.組織因子は培養平滑筋細胞の増殖には作用しないが、遊走への影響が認められた。 以上の結果より、動脈硬化の初期病変(内膜肥厚巣)では、内膜平滑筋細胞がPDGFをはじめとする増殖因子および組織因子を発現し、再傷害後のフィブリン血栓形成とともに、内膜平滑筋細胞の増殖および遊走にも関与していると考えられる。 今後は、内膜平滑筋細胞での組織因子の発現および活性について検討する。また培養平滑筋細胞の遊走に及ぼす組織因子の影響についても、他の増殖因子との関連も含めて詳細に検討を進めている。
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