1994 Fiscal Year Annual Research Report
Clostridium difficile の毒素産生機構の解析
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06670286
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 清孝 金沢大学, 医学部, 講師 (20110629)
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Keywords | C.difficile / 合成培地 / アミノ酸 / ビタミン / トキシンA / トキシンB / 毒素 |
Research Abstract |
C.difficileの毒素産生制御機構を栄養素の観点から解明する事を目指し、先ずアミノ酸について3菌株を用いて検討した。18種類のアミノ酸を含む合成培地を基礎培地とし、各種アミノ酸欠損培地における毒素産生性を検討することにより、十分な毒素産生にはバリン、システイン、トリプトファン、プロリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシンが必須であることが分かった。これら7種類の必須アミノ酸に残り11種類のアミノ酸を1種類ずつ添加した培地における菌の増殖を測定することにより、グリシン、スレオニンが増殖を促進することが分かった。VPI 10463株を用い、7種類の必須アミノ酸のみを含む合成培地および、更にグリシンとスレオニンを添加した合成培地における毒素産生を検討した結果、後者の方が前者より良好であった。システインを除く6種類の必須アミノ酸の量を増量したとき、毒素産生量はアミノ酸の増量と共に増加し、アミノ酸量を基礎濃度の5倍に増量したとき、毒素量は最高値に達した。この事から、バリン、トリプトファン、プロリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシンを基礎濃度の6倍量、グリシン、スレオニンを基礎濃度の2倍量、システインを基礎濃度量に含む合成培地を毒素産生用合成培地(6xMADM)とし、有毒C.difficile20株の本培地における毒素産生を、毒素産生に優れた複合培地m-BHIと比較検討した。被験20株中13株では両培地で同程度の毒素産生が認められ、6xMADMは毒素産生に良好な培地であることが示された。即ちC.difficileの毒素産生には上記のアミノ酸が特に重要であることが分った。次に、6xMADMを用いて、ビタミンの毒素産生に及ぼす影響を検討した結果、被験9種類のビタミン中、パントテン酸、ピリドキシン、ビチオンが菌の発育、毒素産生に必須であるが、ビオチンは十分な発育に必要な量より少量の時の方が毒素産生が極めて良好な事が分った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Yamakawa: "Toxin production by Clostridium difficile in a defined medium with limited amino acids" Journal of General Microbiology. 41. 319-323 (1994)
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[Publications] T.Karasawa: "A defined growth medium for clostridium difficile" Journal of Medical Microbiology. 141. 371-375 (1995)
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[Publications] 山川清孝: "ビチオンによるClostridium difficile毒素産生の増強効果" 日本細菌学雑誌. 50. 278 (1995)
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[Publications] 唐澤忠宏: "Clostridium difficileの増殖に必要なアミノ酸とビタミン" 日本細菌学雑誌. 50. 167 (1995)