1994 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリノリジンおよびその他の細菌性チオール活性化溶血素の心臓毒作用の解析
Project/Area Number |
06670292
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 央 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (20142317)
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Keywords | 細菌毒素 / チオール活性化溶血素 / ボツリヌス菌 / 血管収縮性 / 内皮細胞 / EDRF |
Research Abstract |
細菌性チオール活性化溶血素の一つであるボツリノリジン(BL)について、ラットの単離摘出心臓および大動脈の環状標本を用いて以下の知見を得た。 1.BLはわずか0.5ng/mlの濃度で摘出心臓の冠動脈灌流圧を著しく上昇させる。 2.灌流液中のK濃度はBL灌流による冠動脈圧の著しい上昇後も変化しない。 3.灌流液中のCK活性は冠動脈灌流圧の上昇後著しく遅れて上昇する。 4.内皮細胞が正常の大動脈環のαアゴニストによる収縮張力はBLによって有意に上昇する。 5.内皮細胞を機械的に除去した大動脈環のαアゴニストに対する応答性はBLによってほとんど影響されない。 6.内皮細胞が正常である大動脈環のアセチルコリンによる弛緩はBLによって著しく抑制される。 7.ニトロプルッシドなどNO供給源による血管弛緩はBLによって影響されない。 8.ヒスタミンその他のアゴニストによる、EDRFを介する血管弛緩をBLは著しく抑制する。 9.CaイオノフォアによるEDRFを介した血管弛緩はBLによって抑制されない。 以上の結果より、BLは血管内皮細胞に作用して、EDRFによる血管収縮性調節機構のアゴニストの受容体結合からCa流入までの段階に作用していることが解った。
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