1995 Fiscal Year Annual Research Report
恙虫病リケッチアの各種血清型・遺伝子型と病原性との関連性に関する研究
Project/Area Number |
06670307
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
多村 憲 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50027314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 正博 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (70238509)
大橋 典男 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (10169039)
浦上 弘 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (80139732)
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Keywords | Orientia (Rickettsia) tsutsugamushi / 血清型 / 遺伝子型 / 亜型分類 / 病原性 / マクロファージ |
Research Abstract |
恙虫病の病原体であるOrientia tsutsugamushi(Ot)には抗原性を異にするVariantsの存在が知られている。抗原性の差異はOtの表層に存在する56kDa蛋白の型特異的抗原性の差異による。そこで多数の型特異的モノクローナル抗体(MAb)を用いて、我が国及び台湾で分離した44種について血清型別を行うと同時に、56kDa蛋白遺伝子の制限酵素切断パターンを比較し、血清型と遺伝子型の両面から分離株の詳細な型別を行った。その結果、分離株は血清型として5型に分類され、そのうちの1型はこれまでに知られている血清型のものとは異なっていた。また同一の血清型に属するものでも、それはさらに数種の亜型に分類され、合計18の亜型が認められた。またこれら亜型の分布には地域差のあることが判明した。以上の成績より、Otにはこれまで認められていた以上に、多数の変異株が存在することが初めて明らかとなった。 一方Otにはマウスに対する病原性を異にする株が存在する。そのような病原性の差異が現れる原因を検索する目的で、強毒株としてKarp株、弱毒株としてKuroki及びKawasaki株、中間の毒性を示す株としてGilliam株を選び、これらをマウス腹腔に接種した時の生体の反応を調べた。その結果、強毒株の接種では、腹腔中にマクロファージ(Mφ)のみならず多数の好中球(PMN)が出現し、且つこれらの細胞中でOtは旺盛に増殖し、マウスは死亡した。一方、弱毒株を接種した場合にはMφの増加は認められるが、PMNは現れず、且つMφ中でのOtの増殖は貧弱で、期日の経過とともにOtはMφ中にも認められなくなり、マウスは生存した。そこで、滲出Mφ培養系やMφ様細胞であるRAW細胞へこれらOt株を接種して、その増殖の有無を調べたところ、強毒株はこれら細胞中でよく増殖したのに対し、弱毒株の増殖は強く抑制されることが判明した。以上の成績より、Otのマウスに対する病原性の差異はMφ中での増殖性の有無と相関していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohashi, Norio., Fukuhara, M., Shimada, M., Tamura, A.: "Phylogenetic position of Rickettsia tsutsugamushi and the relationships among its antigenic variants by analysis of 16S rRNA gene sequences." FEMS Microbiol. Let.125. 229-304 (1995)
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[Publications] 多村 憲: "恙虫病と恙虫病リケッチア:特にリケッチアの伝播機構と抗原型の多様性" 衛生化学(Japanese J. Toxicol. Environ. Heal.). 41. 179-193 (1995)
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[Publications] Kadosaka, T., Tamura, A., Tarasevich, I. V.: "New species of Neobrombicula(Acari: Trombiculidae)from the southerm Primoryeterritory, Russian far east." . Med. Entomclogy. 32. 381-383 (1995)
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[Publications] Tamura, A., Ohashi, N., Urakami, H., Miyamura, S.: "Classification of Rickettsia tsutsugamushi in a new genes, Orientia gen. Nov., as Orientia tsutsugamushi comb. nov." Intern. J. Systm. Bacteriol.45. 589-591 (1995)
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[Publications] 浦上 弘、多村 憲: "恙虫病リケッチアOrientia tsutsugamushiと宿主ツツガムシとの共生関係について" 日本細菌学雑誌. (印刷中). (1996)
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[Publications] Kawamura, A., Tanaka, H., Tamura, A.,: "Tsutsugamushi Disease" University of Tokyo Press, 362 (1995)