1994 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染細胞におけるクラスI抗原提示機構の研究-エピトープを決定する機構の解析
Project/Area Number |
06670337
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
黒田 和道 大阪薬科大学, 薬学部, 助教授 (50215109)
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Keywords | T細胞エピトープ / 細胞傷害性T細胞 / インフルエンザウイルス / クラスI抗原 |
Research Abstract |
クラスI拘束性T細胞エピトープの抗原性を決定する構造の解析を行うために研究を行ない以下の結果を得た。 インフルエンザウイルス(PR/8/34)NP蛋白上のK^k拘束性エピトープに対応するNP50-57ペプチド(SDYEGRLI)のDをRに換えたペプチド(NPD→R)、IをGに換えたペプチド(NPI→G)及び両方の残基を換えたペプチド(NPDI→RG)を合成し、50μMのそれらペプチド存在下における、NP50-57特異的CTLクローンであるNP102に対する感作活性を測定すると、NPI→Gだけが若干の感作活性を示した。一方、NP50-57の感作活性に対する阻害活性を調べると、NPD→Rだけが若干の活性を示した。これらの結果は、NP50-57において、DとIの両方がK^k分子への結合に重要であり、両方のアミノ酸を失うと結合活性が完全に失われることを示唆している。 上記の結果は、K^k拘束性エピトープでは、N末端から2番目の酸性アミノ酸およびC末端のイソロイシンの存在がモチーフ構造であるとする、Brownleeらの予想を支持するものである。そこで、このモチーフを満たすNP蛋白上のアミノ酸配列の内、NP50-57以外の配列である、NP438-445(SDMRTEII)とNP467-475(SDEKAASPI)の2つのペプチドを合成しそれらの感作活性とNP50-57の感作活性に対する阻害活性を調べた。両ペプチドは、NP102によっても、また、PR/8/34特異的ポリクローナルCTRによっても認識されなかったが、NP50-57の感作活性に対する阻害活性は、両ペプチドが活性を示した。このことは、NP438-445とNP467-475とがK^k分子に結合し得るにもかかわらず、CTL誘導能が低いことを示しており、PR/8/34感染CBAマウスにおいてNP50-57特異的CTLが主要であるとする結果と一致する。今後、NP438-445とNP467-475のCTL低誘導能の原因に関し、さらに解析を進める予定である。
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