1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトレクチンP35の遺伝子クローニングと生体防御因子としての機能検索
Project/Area Number |
06670360
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20117427)
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Keywords | 動物レクチン / cDNA / オプソニン |
Research Abstract |
血中のC型レクチンであるMBP.(mannose結合蛋白)やコングルチニンはコラーゲン様構造をもちコレクチンと総称され、生体防御に重要な働きをしている。我々はMBPの研究中にmannanに結合しN-acetylglucosamineで溶出される新たなレクチンP35を見い出した。還元下でのP35の分子量は35Kdで、血清中では重合しオリゴマーとして存在していると考えられた。まず、P35の構造の解析を目的としてcDNAをクローニングした。P35のN末端のアミノ酸配列をもとにオリゴヌクレオチドプローブを合成し、常法に従いヒト肝臓cDNAライブラリーをスクリーニングした。得られたP35から推定されるP35は313個のアミノ酸からなり、N末の25個はシグナルペプチドで、次にGly-X-Yの繰り返しからなるコラーゲン様構造、これに続くフィブリノーゲン様構造からなっていた。ホモロジー検索の結果、ブタ子宮細胞膜から単離されたFicolinと高いホモロジーをもっており、P35は Ficolinのヒトホモログと考えられた。ノザンブロットの結果、P35は肝臓で発見されており、主な産物の長さは1.3Kbであった。肝臓にはこのほかスプライシングの違いによると思われる3.0-4.5Kbの産物が少量見られた。P35にはC型レクチンに保存されているCRD(糖鎖認識領域)は存在しなかった。糖鎖結合試験の結果、P35は複合型、混合型糖鎖を認識し、MBPとは明らかに異なる特異性を示した。また、P35は好中球と単球による細菌のとん食を増強し、オプソニンとして機能することが明らかになった。以上のことから、P35は新たなヒト血清レクチンであり、構造上MBPとは少し異なるものの感染の初期防御に関与する因子てある可能性が明らかになった。現在、機能をさらに明らかにする目的で組み換えP35の作製を進めている。また、P35のゲノムの解析および遺伝子の染色体上での位置の決定も進めている。
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[Publications] K.Kawagoe et al.: "Molecular cloning of murine PIG-a,a gene for GPI-anchor biosguthesis and demonstration of interspecies conservation of its structure,function and yeuetic low" Genomics. 23. 565-574 (1994)
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[Publications] Y.Endo et al.: "Reginal localization of the gene for thyroid peroxidase to human chromosome 2p25 and mouse chromosome 12C" Genomics. (in press). (1995)
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[Publications] H.Tamaki et al.: "Enzyme-linked immunosorbent assay for TSH receptor antibodies using the synthetic TSH receptor peptides" J.Clin.Lab.Immunol.43. 89-98 (1994)