1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトレクチンP35の遺伝子クローニングと生体防御因子としての機能検索
Project/Area Number |
06670360
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
遠藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20117427)
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Keywords | 動物レクチン / cDNA / 生体防御 / コラーゲン様構造 / フィブリノーゲン様構造 |
Research Abstract |
我々はヒト血清から新しいレクチンP35を単離し、その構造と機能について解析してきた。P35は、細菌表面などに存在するN-acetylglucosamineを特異的に認識しオプソニンとして作用することがわかった。P35cDNAから推定れるP35は、313個のアミノ酸からなり、N末の25個はシグナルペプチドで、次にコラーゲン様構造、これに続くフィブリノーゲン様構造からなっていた。P35の1次構造は、ブタ子宮細胞膜からTGF-β1結合タンパクとして単離されたFicolinに約75%の類似性を示した。P35は主に肝臓で発現されており、主な転写産物の長さは1.3Kbであった。P35の遺伝子構造を解析した結果、P35は少なくとも8個のエクソンでコードされており、その領域は約10Kbであった。2つのエクソンでコードされたコラーゲン様ドメインは、イントロンの挿入位置から非繊維性コラーゲン遺伝子を祖先とすることが推定された。また、フィブリノーゲン様ドメインは4つのエクソンでコードされており、このうちの2つのイントロンの挿入位置がテネイシン(フィブリノーゲン様構造をもつ細胞外マトリックスタンパク質)と共通することがわかった。すなわち、2つのドメイン構造をコードする遺伝子はそれぞれ起源を異にし途中で結合したものと推定された。P35cDNAの単離の際に、P35cDNAとは一部配列を異にするクローンが得られたが、これらを遺伝子構造と対応させた結果、3つのスプライシング変異体の存在が明らかになった。また、我々はP35遺伝子単離の際に、配列が少し異なるP35関連遺伝子を単離した。この遺伝子は、別のグループにより単離されたヒトFicolinをコードすることがわかった。P35関連遺伝子は主に肺と抹消白血球に発現しており、その大きさは1.4Kbであった。さらに、P35遺伝子およびP35関連遺伝子はともに9番染色体長腕に存在した。以上の結果から、P35とその関連因子は1つのファミリィを形成し、その中の1つのP35は肝臓で合成され血中に存在し、オプソニンとして感染の初期防衛に関与することがわかった。
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[Publications] Matsushita,M.et al.: "A novel human serum lectin with collagen-and fibrinogen-like domaius which functions as an opsonin." J.Biol.Chem.271. 2448-2454 (1996)
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[Publications] Yoshimoto,T.et al.: "Molecular cloning and characterization of murine IL-12 genes." J.Immunol.156. 1082-1088 (1996)
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[Publications] Ohishi,K.et al.: "Cloning and characterization of the murine GPI-anchor synthesis gene Pigf,a homologue of the PIGF gene." Genomics. (in press).
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[Publications] Endo,Y.et al.: "Regional localization of the gene for thyroid peroxidase to human chromosome 2p25 and mouse chromosome 12C.20GC04:Genomics" 25. 760-761 (1995)
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[Publications] Ohishi,K.et al.: "Structure and chromosomal localization of the GPI-anchor synthesis gene PIG-F and its psuedogene φPIG-F." Genomics. 29. 804-807 (1995)