Research Abstract |
NASA-TLXを用いた主観的ワークロード評価手法による製造現場作業者の負担感調査(1)と生理的指標によるメンタルワークロード評価(2)を行った. 1.現場作業者にヒアリングを行い,現場作業者向けTLX (TLX-L: TLX for Line workers)を作成し,某エアコン製造会社の作業員を対象として,計4回の調査を実施した.その結果,簡便法による指標AWWLとWWLに高い相関が認められた.また,test-retestの相関に有意な相関が認められ,再現性が確認された.さらに,下位尺度の検討では,ライン特性などが尺度得点に反映されることが示され,TLX-Lの現場作業者負担感評価への応用の可能性が示唆された.一方,姿勢性負担などがあまり反映されていないことが推察され,さらにこれらの点についての改良の必要性が示唆された. 2.16名の男性被験者の心電図(心拍変動性:HRV,T波振幅),指尖容積脈波,精神性発汗,呼吸,瞳孔面積を計測した.課題は木片による図形作成パズル(PZ),2次元補償型トラッキング作業(FL),数値的論理課題(MN)の3種類とし,PZは8分間,FLおよびMNは難易度を3段階に設定し,各4分間遂行させた.瞳孔面積の測定には非接触で計測できるシステムを試作したが,まぶたの影響などで十分な計測が行えず,さらなる改良の必要性が示された.なお,主観的ワークロードとしてNASA-TLXを用い,他に,TypeA行動特性,および状態不安(STAI)を測定した.その結果,呼吸統制を行わせているにもかかわらず,被験者によっては作業中に呼吸周期,呼吸振幅の変動が多く出現するものがおり,HRVにこれらが大きく影響することが示された.一方,精神的発汗は,作業難易度と相関する結果が得られ,また,作業に特異的な反応が見られ,主観的負担感が等しい作業でも,生理反応は異なることが示された.
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