1995 Fiscal Year Annual Research Report
胎仔肢芽培養法を用いた環境汚染化学物質の混合物の胎仔毒性リスク評価法に関する研究
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06670394
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
米元 純三 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (30072664)
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Keywords | 胎仔肢芽培養法 / 環境汚染化学物質 / 胎仔毒性リスク / 有機塩素化合物 / 混合物の毒性評価 / isobole diagram |
Research Abstract |
混合物の胎仔毒性リスクを胎仔肢芽培養法を用いて評価するため、混合物の相互作用の解析を、昨年度の成果に基づき、isobole diagramを用いて行った。環境汚染化学物質としては昨年同様、有機塩素化合物を取り上げ、新たに、p-ジクロロベンゼンの環境中での代謝物である2,5-ジクロロフェノール(DP)、2,5-ジクロロアニソール(DA)、殺菌剤、デオドラント剤として広く用いられているトリクロサン(IR)、トリクロロカルバン(TC)を対象に加えた。まず、単独の胎仔毒性を胎仔肢芽培養法を用いてスクリーニングした。その結果、トリクロサン、トリクロロカルバンの毒性は、これまでスクリーニングした有機塩素化合物の中でももっとも強かった。しかし、胎仔毒性のポテンシャルの指標であるP/D比は1前後であった。ジクロロフェノールのP/D比は、6.1以上と非常に高く、胎仔毒性を検討するプライオリティが高いと考えられた。混合物としては、細胞増殖作用の認められているp-ジクロロベンゼン(pDCB)と、p-クロロアニリン(pCA)、リン酸トリス(2-クロロエチル)(TCEP)、ジクロロフェノール、トリクロロカルバンの4種の化合物との組み合わせおよび、トリクロサンとトリクロロカルバンの組み合わせの5種類について、混合物の相互作用をisobole diagramを用いて解析した。IRとTCとの組み合わせでは混合物の作用は相加的であった。これに対し、pDCB-TCEP、pDCB-pCAでは、細胞増殖に対してより毒性軽減作用がみられ、pDCB-DPでは、細胞分化に対してより毒性軽減作用が認められた。混合物の混合比によってP/Dが変わり、胎仔毒性のポテンシャルが変わる可能性が示唆された。
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